NOVEL
□ぐーパンチに一目惚れ
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なぜ誕生日にしてこんな格好をしているのだろう。
ザンザスは思った。
ソファーの影に縮こまっているのは、紛れもなくこのアジトのボス、ザンザスだ。
『スクアーロにさ、聞いてあげる』
『なんでボスが好きなの?って』
自称王子とフードの赤子が言った。それが「プレゼント」なのだという。
実に不可思議な二人組である。
『ボスはなんでも持ってるからさ。「もの」じゃないものあげようと思ったんだ』
『だから、ほら、ボスはそこで隠れてて』
副官のスクアーロとは、既に数年間恋仲だ。
しかし、少年時代に半年お互いに自身の恋心を自覚しながらも、その後8年間ザンザスは眠りにつかされたまま。やっと数年前に再会できたものの、反乱やその後始末に追われ続け、二人きりでゆっくりする時間ができたのはここ何年か。
既に何年もの仲。
さらに仕事でも謂わば相方のような立場。
今さらそんな確認などできるはずもない。
十何年も少しずつ育んできて、やっと最近素直になれてきた。
…大切な存在に気付けた。
スクアーロはどう思っているのだろうか。
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