NOVEL

□終末の約束
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※二万打記念
※ほぼ会話。死ネタかも。






空白。

ただ、ただ、空白。




「なぁ、」


そこにひとつの声が響いて、消えた。


「あ?」


時間に忘れ去られた頃に返事が響く。


「手、繋いでいいかぁ」

「…勝手にしろ」


パタパタと、白い手が辺りをまさぐって、やっと男の手にたどり着く。


「わりい。目ぇ、見えねえんだぁ」

「あは、お前の手あったけえなぁ」


けら、と白い男が笑うと、黒い男の舌打ちが響く。それでも男は押し殺したように笑い続けている。
くすくす、くすくす。
いつまでも続くように思われたそれも、やがて静寂へと溶けていった。


「…なあ」

「今度はなんだ」


「明日世界が終わるとしたら、どうする?」

「世界は明日終わらねえ」

「終わるとしたら、っていってるだろぉ。ifだあ、if」

「……」

「…おい」


焦れたように白い手がぎゅう、と力を入れると、男はため息をついた。


「どうもしねえよ」

「書類捌いて、会議出て、飯食って、酒のんで、人殺して。それだけだ」


「ははっアンタらしいな」



「…次の世界でも、アンタに会いに行っていいかぁ?」

「んなもん信じてねぇ」

「だぁから、もしもだって」

「…駄目だと言っても、来るんだろう」

「よくわかったなぁ」


冷えてきた白い指先を、大きな手は惜しむように握った。
けれども、白い手は冷えていく一方だった。男の手もまた、体温を失いつつあった。


「す、げぇ、ねむい…」

「寝ればいい」

「ボスもいっしょかぁ?」

「俺も一緒だ」

「そおかぁ…」


「おきたら、すぐにアンタをさがすからなぁ」


白い手の力が抜けてゆく。
ザンザスは、その手を、顔を撫でてやりたいと思った。しかし、すでに彼のもう一方の腕は吹き飛ばされた後だった。
ちくしょう。その思いも長くは続かない。
視界が遠くなる。
遠くなって、薄くなって、消える。



「おやすみ、スクアーロ」


「おやすみ…ざんざす」





(終末を告げる彼らの世界)



***
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