NOVEL

□それは、もしもの話
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「カス」

もう、なんとでも呼べばいい

「そこの、鋏取れ」


ベッドから少し離れたところにあるテーブルの上に鋏があった。よく切れそうだ。
超直感なんてないはずだけど、一瞬でボスの考えていることがわかった。

オレ、切り捨てられちまうんだなぁ。

「寄れ」

やっぱりだった。
ボスはオレが伸ばし続けた髪を鋏を持ってない手でがっしり掴んだ。

ごめんなさい。
役立たずでごめんなさい。
失望させてごめんなさい。
ボスにできなくてごめんなさい。

『もしも殺されなかったら、また傍に置いてくれ』なんて考えて、ごめんなさい。



さようなら。



ジャキン、と鋏がなった。




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