小話
休止中の一時的避難場所となります。
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◆貴方に青を。( 圭影)
何て青の似合わない男だろう。
ぼんやりとそんなことを思ったのはきっと、視界に青が無いからこそだ。
白黒赤。その三色があれば視界に入る全てを描けるだろう。ただしそれは不完全だ。どんなに上等な絵具でも、この赤は表せやしない。眼前のそれさえも、やがては赤褐色に鈍るのだろう。
「……影崎」
「おや、こんにちは」
振り返り薄っぺらく笑む、その頬にこびりついた赤は新鮮で、ああまたかと思う。俺はよく、……まあ何だその、『殺したて』の影崎に遭遇する。こんなにあっさり目撃されていいのだろうか。そう問うたら、石動さんくらいですよと返された。
……まあ確かに、路地裏を見かける度その奥に殺人者を探すのは、俺くらいか。
だが多分、立ち去ることを要求されないのも、俺くらいだ。
「お疲れさん」
皮肉でなくそう言ってから、それが皮肉ともとれると気付く。若干の焦燥は杞憂だったらしく、あっさりどうもと返された。
ふと思い立ち、ポケットに入れたままだったハンカチを取り出す。貰い物のそれは、原色的な青。
「ちょっと動くなよ」
素直に指先まで停止した上司の頬を拭う。相変わらずの無表情に、何処と無く訝しげな色が浮かんだ、気がした。それは気のせいではない、気がした。
ハンカチにじわりと赤黒く血が滲む。貰い物だからといって別に愛着は無いので構わないのだが、影崎は気にしたらしく、その口唇が動きかけて止めた。いやそりゃまあ動くなよっつったのはこっちだけど。
ハンカチの青は予想通りこいつに似合わない。いっそ笑えるくらいに。
でも、まあ。
血の色よかましだ。
「よし、とれた」
「……ありがとう、ございます」
「おー。まだ仕事あるんか?」
「いえ」
「じゃ、うち来て風呂入ってけ」
ぱち。
ぱち。
まばたきを、二回。
それから上司はことりと首を傾げた。
……ある意味こいつほど分かりやすい奴もいないんじゃねえか。
思わず苦笑して、ちっこい上司の頭にぽむっと手を置いた。
「……お前さ、赤似合わねんだよ」
(赤を洗い流したこいつに似合わぬ青い服でも着せて、腹を抱えて笑ってやろう。)
2009/01/07(Wed) 12:22
◆何て馬鹿馬鹿しい話!( 圭影)
血を流すのが心臓ならば、涙を流すのはどこだろう。
それを仮に心とやらの心臓だとするならば、どうやらこいつは死んでいる。
そしてどうやらこの俺は、死者蘇生の魔法を使おうとしているらしい。
2009/01/04(Sun) 13:03
◆ただいま避難場所のテスト中
本日は晴天也。
2009/01/03(Sat) 13:39
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