BASARA部屋

□春の季節に
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「はぁ………。」
真田幸村は本日何度目かの溜め息を吐いた。
それは明らかに雰囲気が恋の悩みだと知らせていた。

今幸村の頭にはある一人の忍びしかいなかった。


〜春の季節に〜


「幸村よ。」
「お、お館様………!!い、いつから!?」
「つい先程よ。何だ?何か悩み事でもあるのだろう?申してみよ。幸村」
「い、いえ。別にお館様の気にすることでは………!!」
「みなが幸村は恋をしとおるというてたぞ?」
「え………?い、いやそのようなことでは…!!」
顔を真っ赤にして否定しても効果はなくむしろ逆効果であり、お館様もとい武田
信玄は高らかに笑った。
(幸村の相手などあやつしかおらんがな。)
実は解っていたのだ。
最近の幸村はこうしてぼぅっとしていたり、溜め息をついたりそうしていると思
っていたら急に顔を赤くさせて一点を見つめいたりと明らかに恋をしているとい
うのがみんなの持ちきりの噂だった。
「じ、実は………。」
「ん?」
ぼそぼそと話始めた幸村に武田は耳を傾けた。
顔は真っ赤だった。
「こ、この数年間ずっと好いてる者がおるのですが………き、気づいてもらえず
、ど、どうすればよいものかと………。」
「幸村。言ってしまえばよいではないか。」
(あやつも幸村を好いておるのだからな。)
心の中で呟いた。
しかし幸村は顔を振った。
「き、拒絶される可能性が高くて…拒絶されたらきっと元の関係に戻れないと思
うと………。」
確かに幸村の言葉も一理ある。それにもとから鈍化な幸村があの感情を隠すのが
うまい忍びが自分を好いてると気づいたりは出来ないだろう。武田でさえこの間
、幸村の縁談がきたときに忍びの表情を見て初めて知ったのだから。
(さて、どうしたものかな………?)

下手な戦よりも作戦が思いつかなかった。
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