白夜・企画

□白雪姫
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今日は学祭前のリハーサル。出し物をやるグループが教師の前で演じてみる、というもの。他の全ての団体は発表を終え、残すは有志で作ったという『白雪姫』。
しかしこの劇、この学校で最も有名な奴らをかき集めて行われるのだ。教師も気が気じゃない。

「政宗様・・。無茶をなさらなければいいが・・。」

「この劇、メンバー全員が部分ごとに作った脚本を合わせて作ったそうですよ。楽しみですねぇ・・。」

時間もだいぶ押し、残った教師は小十郎と光秀だけだ。小十郎の胸に大きな不安を残したまま、劇の幕が上がる。



『ごきげんよう、諸君。』

「だ、誰だコイツは!?」

「臨時教諭の松永先生ですよ。その声からナレーターに抜擢されたとか。」

『さて、今より行われる劇は『白雪姫』だ。何、今なら帰っても構わんよ。卿には損にはなるまい。・・・残るのなら、話を始めようか。
昔あるところに、各国に問題を生じさせるほど美麗な姫がいた。名を白雪姫。』

舞台に光が射し、西洋風の舞台が浮かび上がった。かなり凝っており、城壁などはまるで本物のようだ。

「大道具・小道具は徳川君と本多君が担当したそうですよ。」

どうしてこいつはそこまで知っているのだろうか。
と、そこへ城の方から一人のキャストが歩いて来た。みすぼらしい服を着て、井戸の近くに座り込む。

『彼女はその美しさゆえ継母から疎まれ、奴隷同然の扱いを受けていた。可哀想に。美を追求した余波が姫を襲ったのだ。』

どうにもナレーターが怖い気がした小十郎であった。

『そして今日も彼女は井戸に悲しみをこぼす。』

「・・・ああ、どうしてお母様は私をいじめるのだろう。」

やけに棒読みの姫、その顔は――


「ま、政宗様ァ!!?」

「クハハハハ!これは面白い!」

確かに、政宗がみすぼらしいスカートをはいて、顔を真っ赤にして、そこにいる。そのあまりの姿に小十郎は失神しかけてしまった。
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