除夜・捧物
□片倉小十郎の憂鬱
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「そなたのクラスの生徒は困るでおじゃ!何かあるとすぐ騒ぎよる。そなた担任よの!何とかするでおじゃ!」
今川先生からの手痛い報告。その曰く問題児の担任である片倉小十郎は現状を把握するため、行動を開始するのであった。
片倉小十郎の憂鬱
「片倉先生のクラスの生徒の様子、にござりますか?」
最初に訪ねたのは家庭科教師のまつ。よく料理の話で息の合う、数少ない頼れる人物だ。今もまつは明日の調理実習の仕込みを行っており、小十郎も手伝っている。
「お恥ずかしいが、今川先生に言われてしまい…。各先生方に尋ねているんですよ。」
「さようで。騒がしいのはいつもの事。元気があるもいつもの事。後は…。あ、そういえば―――」
「本日の調理実習はカルボナーラにござります!皆様、お力を奮いませ!」
生徒は声に合わせて自分の班に散っていく。
「某、かるぼなーらを見事作ってみせようぞ!うおぉ!早速この肉を包丁で叩っ切って―――」
「待たぬか、真田!」
最初の声は片倉クラスの幸村、それを止めたのは片倉クラスの秀吉。
「包丁を二本持ち、突き刺そうとする者がどこにいる。」
「ぬ…。違うのか…。」
「さらにプリントを見よ。まずは卵だ。すなわちこれを―――」
ぐしゃっ。
「……。」
「ぬおっ!ひ、秀吉殿が卵を片手で握り潰された!」
「落ち着かぬか、真田。それより殻が混じってしまった。取り除かねば―――」
べきっ。
「…………。」
「うおぉっ!秀吉殿が卵のみならず、さいばしまでもへし折られた!」
「…我が手に砕けぬ物はなし!」
「―――ということなら、ござりました。」