朧夜・長編

□モノに勝りし 8
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「よし、ハゼだ!食材だ!」

「お前が食べる前に奥州に送るからな。」

あの合戦の後、またしても小太郎のあんまで熟睡し、翌日、ハゼをもらって城を出た。城下を出るまで小太郎がついてきてくれるという。

「風魔。お前、何か食材知らないか?さっきのハゼみたいなやつだ。」

言うと風魔は考え、地面にガリガリと何かを書く。


上田・・・まんじゅう


「上田はだめだ!あの男がいる!他にはないのか!?」

執拗にかすがに否定され、少々困りながらもさらに書いたのは、


近江・・・近江牛


「近江といえば、信長様の妹君・お市様が輿入れなさった浅井殿がいる。ここならいいかもな〜。」

利家は牛肉と聞き、にこにこしている。かすがも不足はないようだ。

「じゃあ次は近江だな。」


しかし、そう簡単にいかないのがこの旅だ。もちろん次に着くのは近江ではない。





「はぁ・・・。はぁ・・・。何なんだ、この運の無さは・・・!」

結局、道を近江に変えてすぐ、どうしてか松永軍に遭遇した。見つかってしまい、本気で戦おうとする利家を引っ張って、どうにか逃げた。しつこい松永死神部隊を何とか巻き、着いたのは本願寺。
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