朧夜・長編

□モノに勝りし 7
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小田原城、本丸前広場。数本の道が交わり本丸へ上がる大きい階段へと続くその広場は、戦闘をするのに申し分のない広さだ。
そこに今、二人の人間が対峙している。片や前田利家、片や風魔小太郎。そこから少し離れた所で氏政とかすがは座って見ている。

「お頼み申す。」

「・・・。」

一瞬の沈黙。先に地を蹴ったのは小太郎。手裏剣を投げながら間合いを詰める。

「ふっ!」

大槍を振るい、全てはじく。そしてその流れで槍を小太郎にふりかぶる。しかし小太郎はあっさりかわし、利家のふところに入る。

「!!」

左の忍者刀がうなり、利家は首をひねってギリギリでかわす。かわした刀がわずかに首をかすり、血で赤くきらめいた。そして右の刃も繰り出そうとした時――

「!?」

利家が刃を蹴りとばし、はるか後方に落ちる。そして利家は片腕で豪槍を横なぎにする。刃ではなく、柄の部分が小太郎の腹部に当たる寸法だ。しかし――

「おおっ!?」

小太郎はひらりと跳ぶと、何と利家の槍の上に飛び乗った。そしてタンッ、と槍を蹴って後退し、先ほど蹴られた刃を再び掴む。その時利家は上を向いて、


ピイィィイー!!


「!?」

突然鷹の群れが小太郎を襲う。しかし小太郎は――
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