短夜・短編

□あぁ無情
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とある山の中。毛利元就は切株に身を預けていた。

「何たる醜態…!!愚かな…!!」

現在元就は、見知らぬ山中で動けなくなっていた。よく見ると右足を捻挫しているようだ。

「我とした事が…!!」



元就は最近勢力をますます伸ばしているという徳川軍の動向を探るため、一人視察に来ていた。部下はついていくと言うが、邪魔だと判断した元就は領地の守備を命じ、供無しで来たのだった。

視察までは順調だった。ところが、帰りの途中で何と近くに松永軍がいる事が発覚したのだ。彼の部下の死神部隊は手強いし、何より服を変え編み笠をかぶっただけの変装で、かの目利き松永久秀を欺けるとは到底思えない。

見付かれば自分が危ない。そう判断した元就は、慣れない山登りを敢行したのであった。

(先日の雨を計算に入れるべきだったか…!まさかここまでぬかるんでいるとは…!!)

結果、ぬかるんだ泥に足を取られ、転んだ上に右足を痛めてしまった。その上笠も壊れ、うかつに山を降りれなくなってしまった。
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