BLEACH

□誰のプリンセス?
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某月某日、一番隊隊舎にて――


「…―というわけで、本日をもって黒崎一護を正式に死神と認め、零番隊隊長に任ずる」


黒崎一護は正式に死神となった。


山本が解散の合図を出すと、集まっていた隊長・副隊長のほとんどが一斉に一護のもとへ集まった。


「いやー、一護君、隊長就任おめでとー」


「あ、ありがとうございます」


「ついに僕のお嫁さんになってくれる気になったんだね?」


「え、は?京楽さん、何言って…」


「そうですよ、京楽隊長!一護は俺のよ、嫁に…!」


「いやいやいや、恋次。お前も間違ってるって!」


突然おかしなことを言いだした京楽と恋次に対しての一護のツッコミは、しかし2人には聞こえていなかった。


なぜなら、そんなことを言い出したのは彼らだけではなかったからだ。


「一護、兄は私の後妻となりに来たのであろう?」


「ふむ、ワタシも彼には少々興味があってネ。ぜひ我が十二番隊で預からせてもらいたいのだがネ」


「一護!お前は俺に会いに来てくれたんだよな!?」


「あーん?一護は俺と死合いに来たんだろ?」


「一護君、君は僕に会いに来てくれたんだろう?」


などなど、若干違うことを言っている人もいるのだが、おおむね皆同じく一護は自分に会いに来てくれたのだと言っている。


どうしてこんなことになっているのかといえば、一護がこちらに到着してすぐに放ったある一言にあった。


一護は、「ある人に会いたくて会いたくてたまらなくてこっちに来た」そう言ったのだ。


空座町をも巻き込んだ藍染との戦いで死神としての力をすべて失った一護は、もちろん生身の体ではもう二度と死神の姿を見ることができなくて。


そんな状態で2年間、ついにある人が恋しくてたまらなくなって来てしまったのだと。


もしかしてそのある人とは自分のことではなかろうかと隊長・副隊長らは思い込んでいるのだ。


もちろん一護を見れば、今周りでガヤガヤ言っている連中の中にはいないことなど明白なのだが、頭の中では一護とムフフ――な妄想お兄さんたちには一切目に入っていないようだった。


ちなみに少し離れたところでは女性たちがあらあらまあまあといった風に微笑ましそうに見ているのだが。


そんな、大勢に囲まれあわあわしている一護を助けたのは、その一護の恋しい人だった。


「霜天に座せ、氷輪丸!」


器用に群がっていた周りの男たちだけを離した彼は、素早く一護に近寄るとその胸倉を掴んで顔を近づけさせその唇にキスをした。


『あーーーーーー!!!!』


とたんに上がる低く野太い悲鳴。


「隊長、やっるぅ!」


「シロちゃんすごーい!」


そして女性たちの冬獅郎を称賛する声。


たっぷり1分はそのままキスしていただろうか。


やっと離れた一護の顔は真っ赤だったが、嫌がっている風には到底見えなくて。


冬獅郎はニヤリと笑って周りを見回すと、


「こいつは俺のだ」


そう宣言した。


その言葉に他の隊長・副隊長たちがショックを受けている間に、冬獅郎は一護の腕を引いた。


「行くぞ、一護」


「あ、ああ。……っていうかお前、こんなところでキスなんかしてくんなよ!しかも氷輪丸まで使ってるし…」


「お前が最初にかわいいこと言うからじゃねぇか。だいたい他のやつらに分からせるにはこれくらいがちょうどいいんだよ。氷輪丸のことは総隊長に許可をとったから大丈夫だ」


総隊長は俺とお前のことを知っているから簡単に許可してくれたと続ければ、一護はじいさん…と、嬉しいんだか嬉しくないんだか――といった風に呟いた。


そんな一護にもう一度軽く口づけ、呆けているやつらが我に返る前にと隊舎を抜け出した。




<fin.>







あとがき

昨日アンケートのコメ見てて男前な冬獅郎ってあったから精一杯男前にしてみました

でも言われてみれば冬獅郎って結構男前ですよね、小さいけど←

ちなみに隊舎を出てった2人のその後はデート三昧→ムフフです(笑)

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