BLEACH
□星に願いを
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7月7日、七夕とも言えるこの日はまだ梅雨明け前で、鬱々とした曇り空が広がっていた。
いつものように浦原商店のドアを開けた一護の目の前に、緑色の何かが飛び込んできた。
「……笹?」
「あ、黒崎さん。いらっしゃい」
奥から出てきた店長は手にカラフルな細長い紙を持っていた。
「どうも。何持ってんだ?」
「短冊ですよ、短冊。ほら、今日は七夕でしょう?雨やジン太や買いに来てくれた子のために用意したんスよ」
そう言われて見てみれば、たしかについている短冊には小さな子が書くような字で何事かが書いてある。
それらを見るともなしに見ていると、浦原が声をかけてきた。
「黒崎さんも書いてみますか?」
「え、いや俺はいいよ」
「そんなこと言わずに。ほら、紙ならまだたくさんあるんスから」
ほらほらと紙とペンを押しつけられ、一護はしばらくそれらを見たあと仕方なく取り上げて書き始めた。
「…―何書いてるんですか?」
「うわっ、ちょ、見るなよ!」
途中浦原が脇から見ようとするのを阻止しつつ書き終えると、一護はそれを他の短冊に紛れるような場所にくくりつけた。
「ほら、もういいだろ。上がらせてもらうぞ」
「ハイハイ、どうぞ〜」
そのあといつものように夕暮れまで過ごし、一護が帰っていった後で(それまではずっと一護のそばにいた)浦原は彼の書いた短冊を探した。
そしてそれを見つけたとたん、思わず顔がゆるんだ。
それと同時に、どうりで見られたくなかったはずだ、と納得した。
「今夜は晴れるといいですねぇ…」
というより晴れてもらわなくては困る。
晴れて、彼の願いを届けてもらわなければ。
「…まぁ、そんなことしなくてもこの願いは叶うッスけどね」
『浦原さんと、ずっと一緒に』
<fin.>
あとがき
七夕が雨というか曇りだったのでこんな話になりました
軽く浦原さんのキャラを見失いつつ(ぇ)NARUTOより難産でした
どうしようあとがきに書くことがない←