BLEACH
□紫陽花
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※微パラレルっぽいです
あなたは美しく、数多の男を虜にする
けれどもあなたは冷淡で、誰にも靡かない
それでも諦められないのは、あなたの持つ魔力に、
囚われてしまったから?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「こんにちはー!」
都の外れの屋敷の庭の、そのまた外れの東屋に、陽気な声が響いた。
東屋から返事はないが、声をかけた当人はいつものことだと普通に入っていく。
そして、草履を脱ぎかけて止まった。
見慣れぬ沓が一足、置いてあったのだ。
気を取り直して中に入ると、ほぼ同時に東屋の主と眼鏡の男の視線が侵入者に注がれる。
「浦原さん、来てたんだ」
「ええ、少々暇になったものですから。…そちらの方は?」
「藍染さん。役人らしいよ」
東屋の主がそう言うと、藍染と呼ばれた彼はぺこりと頭を下げる。
「そうですか。…先客がいるならアタシは帰った方がいいですかね?」
「好きにすれば?どうせそのうちもう2人くらい来ると思うし」
「なら好きにさせてもらいます」
と言って、浦原は藍染の隣に座った。
東屋の主といえば、興味をなくしたといわんばかりに庭を眺めている。
ここには何回か来たことのある浦原は、ある程度主のことも知っているため、無理に話しかけようとはせず藍染に話しかけた。
「はじめまして。アタシは浦原喜助、しがない商人です」
「はじめまして、浦原さん。さっき説明がありましたが、僕は藍染惣右介、一応中央庁の役人をやってます」
「中央庁!アタシから見れば雲の上のお方ですねぇ」
浦原がそう言った時、玄関の方から人の声が聞こえた。
「失礼しますよー……あれ?藍染君?君も来てたの?」
入ってきた男は藍染のことを知っていたようで、藍染もそれに応えて頭を下げた。
「あれあれ、京楽さんじゃあないですか。そういえばあなたも中央庁のお役人でしたっけ」
「そうそう」
浦原の横にどっかりと座りながら京楽が言った。
「藍染君は僕と同じ中央庁のお役人さんですよー…っと、浮竹、早く入ってこいよ」
「あ、ああ」
京楽に呼ばれ入ってきたのは、長い白髪の男性だった。
「彼は浮竹。僕や藍染君と同じ中央庁のお役人」
どうも、と言いながら浮竹は京楽の横に座った。
「さぁて、何でかお役人さんが3人と商人が1人集まりましたが…」
どうしましょう?と言いながら主の方を見ると、彼は相変わらず外を見ている。
「彼は、いつもああなのか?」
初めてここに来たためか、浮竹が少しいぶかしげに聞く。
「んー、大体はそうだねー」
「そうか…」
それからは、お互い話をして過ごし(時には主も引き込み)、気がつくと空は茜色に染まっていた。
「…そろそろ帰ろうか?」
その一言に4人は立ち上がる。
「それじゃ、アタシたちは帰りますね?」
「勝手にしろ」
そして、それぞれ暇乞いをし、出ていく。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
出て行った4人は、方角が同じということもありともに歩いていた。
「…彼は、とても美しい人だな」
浮竹がつぶやいた。
「ああ。だけど……どこか冷淡でもあるね」
「そこがあの人の魅力じゃないですか!如何にしてあの人を落とすか」
「そうそう。君らも直わかると思うよ?」
藍染と浮竹が、そういう2人に呆れながらも反論できないのは、確かに、と頷いてしまうような何かが彼の人にはあったからだろう。
そして、この日を境に東屋に足を運ぶ者がまた、増えた。
だが、美しくも冷淡な彼の人は、未だに誰にも靡かない。
彼の人がいつも目をやっている、庭の片隅に植えられた紫陽花の花言葉が如き。
「あなたは美しいが冷淡だ」
<fin.>
あとがき
うーん……なんだかすっごい微妙…←
紫陽花の花言葉を知って、思い浮かんだ話です
大体は紫陽花の花言葉っていうと「移り気」っていうのが出てくると思いますが、上のように「あなたは美しいが冷淡だ」っていうのもあるみたいなんですね
調べて初めて知りました
冷淡なところ全然ないですが;