BLEACH

□想い
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「危ない!!!」


目の前にオレンジ色が飛び込んで来て、次の瞬間には視界は真っ赤に変わっていた。










◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆










俺と一護が一緒に虚退治に行くことになった理由(わけ)は、至極簡単なことだった。


一護のところの副隊長が、2人とも急な仕事で行けなくなったのだ。


代わりに一護は誰か他の奴を見つけなくてはならなくなり、俺にお鉢が回ってきた。


なぜ自分のところの三席以下を連れていかないのかと問えば、そいつらでは実力不足だと返された。


それほどの相手との戦いで、俺を選んでくれたのが素直にうれしくて、朽木隊長に頼み込んで許しを得た。


そして俺たちは、現世へと向かった。










◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆










着いたところには、虚が無数に徘徊していた。


幸いなことに、付近には人家もまばらだった。


「油断するなよ?」


「お前もな!」


そう声を掛け合い、俺たちは左右に散った。










◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆










ここに着いてから――斬魄刀を振り始めてから、かなりたった。


いくら体力があっても、そろそろ疲れてきたが、油断はしていなかった――…筈だった。


たった今斬った虚の後ろにもう一体が隠れていて、刀を振り下ろした状態の俺はなすすべもなかった。


…―そんなところに、一護は迷わず飛び込んできた。


俺をかばって背中に大きな傷を負い、それでもその虚を斬り、さらに周りの虚たちを殲滅し、そして――倒れた。


「一護!!!」


駆け寄って抱き起こすと、手にベッタリと生暖かいモノがついた。


ソレは――“一護の血”


「ば、かやろ…何で俺なんかかばうんだよ!!」


思わず口を開き、出てきた言葉は思っていたものとは違うもの。


「はっ…わりぃ、かよ…?」


「わりぃに決まってんだろ!!あんなの…テメェに助けられなくても1人で殺れた!!」


「そ、か…」


「そうだよ!!なのにテメェは…!!」


「だけど、な…、お前に…恋次に死なれるの、が、嫌で…気…付いたら体が…動いてたんだ、よ…」


「っ……!」


「れん、じ…おまえがぶ、じで…よかった…」


「全然よくねぇよ!!テメェが俺のせいで死んだとなったら夢見が悪いじゃねぇか!ちょっとでも悪いと思ってんなら…もう、しゃべるなよ…」


この間にも一護の体からは止めどなく血があふれていた。


四番隊ではない俺には、それを止める術なんて無くて。


ただただ一護を抱きしめることしかできない己が無償に歯がゆかった。


「…恋次」


「何だ…?」


「好きだ」


一瞬、何を言われたのか分からなかった。


だってそうだろう?


こんな、こんな状況で『好き』などと――不釣り合いにも程がある。


だけど、気がついたら言葉が口から出ていた。


「…れも。俺もお前が、一護が……好きだ」


それを聞くと、一護は驚いたような顔をして、それから嬉しそうな笑みを浮かべ、そして――瞼を閉じた。


「一、護…?冗談だよ、な…?」


…―分かっている。


分かっているんだ。


一護はもう…シンデシマッタ


それでも、それを受け入れることを、俺は拒否していた。


「なぁ、俺たちやっと両思いになったんだろ?まだまだこれからだろ?…目を…開けろよ、一護ぉー!!」


どんなに叫んでも一護が起き上がるわけもなくて。


…それでも俺は、出てくる涙と言葉を止めることはできなかった。





<fin.>









あとがき


初めての死ネタで初めての一人称で書いてみました

…難しかったです

人によっては一人称の方が書きやすいという人もいますが、私は三人称の方が書きやすいですね

どっちも駄文には変わりないですが(苦笑)

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