BLEACH

□月下の杯
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コンコンコン


「白哉ー、入るぞー」


その声とともに、六番隊の執務室に入ってきたのは、一護だった。


「…兄か。どうした?」


少しだけ顔をあげて一護を見、また戻して言った。


「いや、…恋次は今いないのか?」


「恋次なら今は書類を届けさせている。…だからといって今日はせぬぞ?いつ戻って来るかも分からぬしな」


「んなっ!ち、ちげぇよ!そうじゃなくてさ。…白哉、今日仕事終わったら空いてるか?」


「……空いている」


少し考えた後で、白哉は答えた。


「そっか!よかった!じゃあ…7時にいつもの場所でいいか?」


「…ああ」


返事をして、そのまま帰っていこうとしている一護に声をかける。


「…ちょっと待て。まさかこのことを言うだけのためにわざわざ来たのか?」


すると、一護は慌てたように戻って来て、書類を数枚取り出した。


「わりっ、忘れてたわ。ほんとはこっちがメインだったんだ」


「まったく、仮にも隊長なのだから…」


「わりーわりー」


代わりに何枚か書類をもらうと、今度こそ本当に執務室を出て行った。


その際、「じゃ、忘れるなよ!」と釘を刺すのも忘れなかった。










◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆










その日の7時を10分程すぎた頃、白哉は約束の場所に急いでいた。


ようやく着いたそこには、既に一護が待っていた。


「すまない。少し遅くなった」


「いや、大丈夫!この待ち時間もお前を待ってるって思ったら全然苦じゃないしさ!」


「…そうか」


「ああ!そんじゃ行こうぜ!」


「どこに」とは白哉は聞かなかった。


行く場所といえばどちらかの家で、今日は白哉の家にはルキアがいるので、必然的に一護の家になるだろう。


思ったとおり、一護が向かったのは自らの家だった。


鍵を開け一護が入ると、白哉も当然のように後をついていく。


そこまで慣れるほど、互いの家を行き来したのだろう。


白哉は一護の部屋に行き、少しして酒とつまみをもった一護が入ってきた。


一護が持ってきた酒を見て、白哉は不思議そうな顔をする。


「兄が酒を飲むのは珍しいな。普段はどんなに勧めても飲まないのに」


「今日は特別。さ、飲もうぜ?」


「今宵は月が綺麗だ。縁側で飲もう」


「ああ!」


2人は少しの間、黙って酒を飲みあった。


「―…一護」


「ん?」


「隊長就任1年、ご苦労だったな」


「お、覚えていてくれたのか!?」


「ああ。兄のことだからな。…兄は現世での記憶も持っているから大変だったであろう」


「ああ…まあ、な…。でも、夜一さんも浦原さんも――お前もいたからさ、何とかやってこれたよ」


「…そうか」


再び黙って酒を飲み、一護は白哉にもたれかかった。


「一護…?」


「あのさ、たまにこうやって酒を飲むのもいいもんだな」


「…そうだな」


寄り添う2人を、やわらかな月光が照らしていた―…。





<fin.>









あとがき


この話では、一護は現世から尸界に来ていて、零番隊の隊長になっていて、副隊長は夜一さんと浦原さんの2人ということで

この設定は、一応一護の尸界での設定ということで

ちなみに、尸界に来ているというのは、もう1回死んでるってことです←

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