七幻■

□お昼寝日和
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「……エーシュン?」

「…………」

「…あ、…の……これ……昼寝?」

「…………昼寝だろう。」



昼に、寝てるのだから。




寝日和





「……ポカポカ……」

「……おい、そんな所で寝るな。」


陽の当たる縁側はあたたかくて、気を抜くと瞼が落ちてきそうだ。

こんなイイ天気なのに、エーシュンは相変わらず眉間にシワを寄せている。


――――そーゆーのをカタブツと言うんだ、とタイショウから教わった。


「……眠い…」

「だからそこで寝るなと言っている。」

「……?ここじゃなきゃいいの?」

「…………客間ぐらい貸してやる。」


そう言って歩き出したエーシュンに掛けた台詞は、別に何を思って言った訳でもなくて。

ただ単に―――



「エーシュンも寝よ?」



傍に居たかっただけ。


「―――――……は?」


エーシュンの木や森や山―――緑のにおいがひどく心地いいから。


「一緒がいい。」

「……――――……」

「……あ、もしかしてあのムズカシイコトバ唱える時間なのか?だったらいいけど。」


いつも邪魔するなって言われるし。


(あぁでも、エーシュンの声は気持ちいいからこのままココで―――)



「――――ついて来い。」

「―――ぇ?」

「早くしろ―――寝るのだろう、俺と。」

「!」



オレは慌てて飛び起きて、コケそうになって、前から伸びてきた腕に支えられて、引っ張られて、そのままエーシュンに引き摺られている間も、



嬉しくて嬉しくて。



喜びしか、感じなかった。



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