コワシヤ

□コワシヤと白い猫
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∵コワシヤと白い猫

カイ:「あー...ヒマだなあ...」
マヒル:「何がヒマだ!人に仕事押し付けといて..なら働け!」
カイ:「いや、俺には今、ジュースを飲みながら休むという仕事があるんで」
マヒル:「そんなのが仕事だったら日本はニートだらけだ!つーか上司に向かっていい根性だなてめぇ」カイ:「はっはっは、褒めても何もでないよ?」
マヒル:「褒めてねぇよ!このクサレ猫が!」
カイ:「全く、怒ってばっかじゃシワが増え...」
(マヒルの頭にカラスが刺さる)

マヒル:「痛ぁぁぁ―」カイ:「おっと、仕事だ」マヒル:「えーっ!?これで何がわかったの!?人間の俺には分からないよ!」カイ:「バカだなぁ。口に紙切れくわえてるじゃん」マヒル:「...」
カイ:(...ぷっ)
マヒル:「今笑ったろ!心の中で笑っただろ!」
カイ:「何故!?」
マヒル:「くっそー!貴様ごときに笑われるなんて!」
カイ:「全力で失礼だな!あんた!」

カイ:「さて、えーっと、なになに...三丁目の路地にあるガレキ処分...俺は粗大ゴミ掃除屋じゃねっつの」
マヒル:「そういうのが仕事だろ、壊し屋って」
カイ:「.....」
マヒル:「ん?どした?」カイ:「いや...」

(首筋をさする)

カイ:「じゃ、俺行くから、所長にはうまいこと言っといて☆」
マヒル:「あーはいはい...って、えーっ!俺怒られ役決定!?」
カイ:「さて、三丁目はどこか...っと」




?:「はあ...はあ....」
「オラー!どこ行った殺し屋ー!」
「おとなしく出てくれば見逃してやってもいいぞー」「意味ねーだろ!」
「イタッ!」
?:「こんな...ところで...」

(行き止まりにたどりつく)

?:「!!」
「見つけたぞ!白猫め!」?:「くっ...」
「おとなしく...ん?」
きーーーーん
ドッッカーーーン

「ギャーーー
?:「!」

(ガレキが落ちてくる)

カイ:「よし、終わり」
「なっ...なななななんだー!?」
カイ:「ん?」
「って...お前!壊し屋のガキじゃねぇか!」
カイ:「あ、警察のもっさん」
モリ:「もっさんいうな!オッサンみたいぢゃねぇか!」
カイ:「オッサンじゃん」モリ:「だまらっしゃい!」
カイ:「ところで、何してんのこんな所でみんなして腰ついて、お茶でもすんの」
モリ:「お前のせいじゃーー
カイ:「ちょっとちょっと、俺は依頼でこのガレキ壊してただけだよ」
モリ:「少しは人の迷惑考えろ!アホが!」

モリ:「ハッ!そうだ!あの白猫は!?」
カイ:「白猫?」
モリ:「最近、指名手配中の殺し屋だ。この街に潜りこんだと聞いて駆け付けたんだ」
カイ:「へぇ...殺し屋ねぇ...なんか俺のパクリみてぇ」
モリ:「まあ、お前はべつに殺人したりしないからなあ」
カイ:「....」

モリ:「っていうか、いい加減どけよ」
カイ:「いやー...このガレキ片付けるまでここは通行止め」
モリ:「なんじゃそりゃ!」
カイ:「っていうか、白猫でしょ?さっき落ちてきた時あっちの角曲がったけど」
モリ:「マジすか!?おい行くぞ!つーかもっと早く言え!」
カイ:「じゃーね〜」


カイ:「.....」


カイ:「さて....
どうしようか、この子」




マヒル:「...で」

マヒル:「なんで会社に連れてくんだよ!」
カイ:「なんでって...ほっとけないじゃん」
マヒル:「そっ...その子殺し屋なんだろ!?そんな...簡単に連れてきて!俺らが捕まるかもしれないんだぞ!?」

(カイが白猫の尾を持ち上げる。)

カイ:「あ、この子メスだ」
マヒル:「どこ見て言ってんだ―――――!」

(飛び蹴り)

カイ:「痛いなあ...何すんだよ」
マヒル:「女の子になんてことしてんだ!おっ前...」
カイ:「何赤くなってんの俺、同じ種族だもん、そんなとこ見なくてもわかるに決まってるじゃん」
マヒル:「へ...」
カイ:「.....」
マヒル:「....」
カイ:「マヒルのエッチ!」
マヒル:「なんでじゃーーーー!!!」

?:「う...」
マヒル:「ハッ!」
カイ:「お―、起きた起きた」
?:「.....」
マヒル:「ちょっ...大丈夫なん?殺し屋でしょ?」
カイ:「大丈夫、大丈夫」
カイ:「どうも、俺..」
パァン

マヒル:「....」
?:「....」
マヒル:「かっ...カイ――――!!!」
?:「....」
マヒル:「ちょっ!カイ!銃...えええ!?」
?:「...そこのおじさん」
マヒル:「ひいいい!...って、誰がおじさんじゃーーーー!」

(銃を額にあてられる)

マヒル:「う....」
?:「...今なら、8ビートに逆立ちしながらコサックダンスで許してあげる...動くな」
マヒル:「ひいいい!命だけはー...って、そんなんできるかあーー!」

カチッ

?:「....!」
マヒル:「あっ!」
カイ:「ったく、痛いなあ...急に撃たなくたっていいじゃんか」
マヒル:「カイ!...ってえええ!?お前さっき...」
カイ:「...話も聞かずに銃はちょっと礼儀知らずだなぁ」
?:「...君...人間...?」
カイ:「いや、俺は猫、黒猫のカイ」
?:「...そうか、擬族か...普通の弾じゃ死なないか」
マヒル:「ま...まさか!もっとすごい武器を...!」
?:「毛糸玉〜」
カイ:「ああ!つい反射神経で...!」
マヒル:「一辺死ねやあぁぁぁ!!
?:「...ふう、油断したな、この街は治安が悪いから...少しは警察もダメかと思ったんだけど」
カイ:「いやいや、もっさんはホントダメだよ、人間として」
マヒル:「本当のことを!」
?:「...!あなた達、警察じゃないの?」
カイ:「どこが?見える?俺はただの工事員」
マヒル:「そっ...そう!君のこと助けたの、こいつなんだよ!」
?:「....」
カイ:「いや、君のことはガレキ壊しのついでよ?」マヒル:「余計なことを言うなあーーーー
?:「そっか...ごめん、僕てっきり...」
マヒル:「了承した!?」カイ:「まあ、殺し屋は追われるの当たり前だけど、君もまだ若いのによく殺し屋なんかやってるね」
?:「.....」
カイ:「...何か理由あるんだ」
マヒル:(そうか...こんな女の子が殺し屋なんかやってるんだもんなあ、それはすごいエピソードが...)
?:「お金が欲しくて」
マヒル:「一行で終わった―――
カイ:「そうかー...それじゃあ仕方ない」
マヒル:「お前も認めんな!」
カイ:「それじゃあ警察に引き渡すわけにはいかないな」
マヒル:「逆!カイ逆!」?:「そうかーよかった―」
マヒル:「えー!?こんな展開でいいのコレ!」
カイ:「ところで、お嬢さん名前は?」
ヒナ:「ヒナ」
カイ:「ヒナか...なんかさっき見た時、すっごいケガしてたけど、どうしたの?」
マヒル:「え?見たところそんなのないけど」
カイ:「擬族だからね。傷はすぐ消えるんだ」

カイ:「警察...じゃないよね、少なくとももっさんはそんなことする人じゃないし」
ヒナ:「.....」
カイ:「違う奴か」
マヒル:「えっ...?えっ!?違う奴って!?」
ヒナ:「....赤い犬」カイ:「赤い...」
マヒル:「犬?何それ」
カイ:「最近、ここらへんを縄張りにしてる組織か...そんなのに目つけられたんだ」
ヒナ:「....」
マヒル:「そっ...組織って...組!?」
カイ:「そんなもんかな」マヒル:「やっ...やばいだろソレ!何で!?」
カイ:「よそから殺し屋が入ったなんて言ったら、もちろん狙われるでしょ」
マヒル:(そ...そういうもんか)
カイ:「いや...もしかしたら、その頭ロリ好きなんじゃ...」
マヒル:「頭被害者―!?カイ、お前刺されるぞ!!」
カイ:「...と言っても、関わってしまったのは仕方ない。なんとかしてやろうか」
マヒル:「うんうん...って、えっ!?」
ヒナ:「え...」
マヒル:「ちょっ...!カイ!本気か!?相手は極道だぞ!お前一人がかなう訳...」
カイ:「俺が...」
マヒル:「....?」
カイ:「何のために...この仕事してると思ってる?」
ヒナ:「...カイ..」マヒル:「....」





(三丁目の路地)

赤い犬の頭、ビリー:「....来たか」
ヒナ:「.....」
ビリー:「一人でのこのこご苦労なこったな」
ヒナ:「...うるさい」ビリー:「今日こそ、その首貰い受ける!」

(ビリーがトンファーを構えてヒナに突っ込む)

ガッ

ヒナ:「ぐっ...」
ビリー:「どうした!得意の銃業は!」
ヒナ:「.....」
ビリー:「...ん?」

ヒューーー...
ドッカーン

ビリー:「わーーーーーーーーーーーーーーーー」ヒナ:「!」
ビリー:「だっ...誰だ!」

(落ちてきたガレキの上に黒い影が写る)

カイ:「....」
ビリー:「...黒猫?」
ビリー:「はっ!誰だか知らねぇがな!この俺に刃向かうってんなら手加減しねーぜ!」
カイ:「....!」
ビリー:「オラー!」

ザクッ

ビリー:「....」
カイ:「.....」
ビリー:「...バカな」
(ビリーの背中にツルハシが刺さる)

ヒナ:「...ふっ」
ビリー:「...お前、白猫じゃ...ないな?」

(ヒナが自分の髪をつかむ)

カイ:「その通り、は・ず・れ〜」
ビリー:「貴様...何も...」
「親分!」
カイ:「おっと、動くな。傷口広がるよ」
ビリー:「ぐふっ...」カイ:「一応、あんたも擬族だろ?これくらいじゃ死なないと思うけど、今の俺なら...」

カイ:「...あんたのこと、殺せるよ」
ビリー:「!」
ヒナ:(...カイ)
ビリー:「...お前、何もんだ」
カイ:「...ただの工事員、それだけ」




ヒナ:「カイ」
カイ:「ん?」
ヒナ:「....ありがとう」
カイ:「...いや?あーあ、ツルハシにサビつく〜〜」
ヒナ:「....」

ヒナ:「...カイ、答えて」
カイ:「?」
ヒナ:「...君は、本当に何者なんだ?」
カイ:「.....」
ヒナ:「.....」

カイ:「...さあ?」
ヒナ:「へ?」
カイ:「俺がわかるわけないじゃんか...そんなの」
ヒナ:「...え?」




カイ:「だって、俺この体、知らないし」

ヒナ:「...え...」



―その頃

マヒル:「カイー!ヒナー!どこ行った―!?」

...まだ捜してた



END

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