小説(長編)
□ラスト・スマイル 第2話
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そういえば、光は、蔵が好きだと言っていた。
蔵と俺は、小学校からの仲で親友だ。その蔵を、光は好きになったと言った。
ぢゃあ、俺はそれを応援すべきなのだろうか?
でも、蔵は千歳が好きだ。そして千歳も蔵が好きだ。
付き合ってはいないが、両思いであることは間違いではない。
後は、時間の問題なのだ。お互いが歩み寄れば結果が見える。
光もそれは知っている。それでも、光は蔵が好きだと言ったのだ。
きっと、光は結果が判っていても真っ直ぐに蔵を求めるだろう。根は素直な奴だから。
。。。。ぢゃあ、俺は――?
俺は光の事がまだ好きだ。でも、終わり≠ェ来たのだから求めることは出来ない。
一度、壊れたものは、二度と同じ形には戻らないのだから。
もぅ夢を見る時間は終わったのだから。
誰を、応援すればいい?光か、蔵か、千歳か――?
俺にとっては、皆、カタチは違うが大事な人だ。それぞれにいいところがあるのだ。
グルグル、グルグルと頭の中が回る。
俺は、この先どうしたらいいのか、わからない。
そんな時、どこからか声≠ェ聞こえた。
―ドウシテ、オレバッカリ、キズツカナクチャイケナインダ―………と。
―ドウシテ、オレバッカリ、ナヤマナクテハイケナインダ―………と。
―ドウシテ、オレバッカリ、アキラメナクテハイケナインダ―………と。
声の主は、ダレ=H
俺は、まだ気付かない
影に隠れ、押しつぶしていたもぅ一人の俺≠ェ静かに姿を現し始めていることを―――
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