小説(短編)
□甘えたな猫。イコール飢えた狼
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久々にゆっくりとした休日。
本当なら、ウィンドウショッピングに行く予定だったのに…。生憎外は雨模様。
今回は何処に行くとか、ちゃんと決めていたもんだから、少々、不満が出てくるけど…
あなたと一緒にいれるなら、部屋でまったり気分を味わうのも……最上級の醍醐味でしょ?
今、俺は謙也さんの部屋にきている。
いつの間にか、見慣れたこの部屋の光景…。
この空間には、謙也さんの香りが詰まっていて……。全てを包み込んでくれるような……そんな気分にさせられる…。
「光?」
「……はい?」
ついその空間に浸っていた俺に、不思議そうに首を傾けて、俺の名前を呼ぶ謙也さん……。可愛えぇ……。
「どうしたん?ボーッてして??」
「なんでもないですよ。……それより……。」
コッチ来て?≠ニ、手でおいでおいでとジェスチャーしてみた。
「ん…。」
素直に近づいてくれる謙也さんに、俺の顔はいつもより何倍も笑みを深くする。
「??なんや、光。めっちゃ嬉しそうやなぁ?」
隣に座った謙也さんが、そんな事を言った……。もぅ、鈍感!!
「謙也さんと二人でまったり出来るからですわぁ。」
だから、直球で返してあげる。……だって、そうでもしなきゃこの人には伝わらないから。
あぁ、もちろん、抱きしめるというオプションを付け加えて。
ちゃんと伝わったかな?と謙也さんを見てみれば、キョトンとした顔が、見る見るうちに赤くなっていった。
加えて、はにかんだ笑顔が浮かびあがる。
あ、その顔すごい好き………。
「ん、俺もめっちゃ嬉しい…。光とふたりきり……幸せ…。」
そう言った謙也さんは、ギュっと俺を抱きしめかえしてきた。
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