小説(長編)

□ラスト・スマイル 第11話
1ページ/5ページ




―動き出す…第三者の感情…―







「…さぁて、ボチボチ行こうか……。」








―――――――――――……







それは、俺がいつも通り職員室で金が無いからと、侘しくカップラーメンをズルズルと啜っていた昼休みの出来事だった。




「渡辺先生〜!生徒さんが呼んでますよ〜。」




他の教員に声をかけられ、俺を呼んでいるという人物のほうを振り向く。




そこには、意外な人物が立っていた。





「なんやぁ?千歳。珍しいやんか、お前が俺に会いにくるなんて。どないしてん?」

…本当に珍しい…。




「…急にスマンと。オサムちゃん、少し…話あるばい…。」




重苦しく発せられた言葉とともに、千歳の表情は真剣さを漂わせていた。




部活で何かあったのだろうか…?




いや…、それなら部長である白石が来るだろう…。ならば……


個人的≠ネことだろうか?とりあえず、ここでは話せないような…そんな雰囲気だ。




「…ん〜、ぢゃあ進路相談室でもいこか〜。あ!すんませ〜ん。ちょお相談室の鍵かりますわぁ。」




俺が、そぅ言った時、千歳はホッとしたような顔をした。


その表情を確認してから、俺達は進路相談室へと足をむけた…。








「で?どないしたん?深刻な顔して。」


火がまだ点いていない煙草を咥えながら問いかける。



「………謙也の事で話があると……。」



……謙也の事?




「あんな、オサムちゃん……………。」





そうして、始まる話の内容に……俺は、煙草に火を点ける事さえ忘れてしまっていた……。






.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ