小説(長編)
□ラスト・スマイル 第11話
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―動き出す…第三者の感情…―
「…さぁて、ボチボチ行こうか……。」
―――――――――――……
それは、俺がいつも通り職員室で金が無いからと、侘しくカップラーメンをズルズルと啜っていた昼休みの出来事だった。
「渡辺先生〜!生徒さんが呼んでますよ〜。」
他の教員に声をかけられ、俺を呼んでいるという人物のほうを振り向く。
そこには、意外な人物が立っていた。
「なんやぁ?千歳。珍しいやんか、お前が俺に会いにくるなんて。どないしてん?」
…本当に珍しい…。
「…急にスマンと。オサムちゃん、少し…話あるばい…。」
重苦しく発せられた言葉とともに、千歳の表情は真剣さを漂わせていた。
部活で何かあったのだろうか…?
いや…、それなら部長である白石が来るだろう…。ならば……
個人的≠ネことだろうか?とりあえず、ここでは話せないような…そんな雰囲気だ。
「…ん〜、ぢゃあ進路相談室でもいこか〜。あ!すんませ〜ん。ちょお相談室の鍵かりますわぁ。」
俺が、そぅ言った時、千歳はホッとしたような顔をした。
その表情を確認してから、俺達は進路相談室へと足をむけた…。
「で?どないしたん?深刻な顔して。」
火がまだ点いていない煙草を咥えながら問いかける。
「………謙也の事で話があると……。」
……謙也の事?
「あんな、オサムちゃん……………。」
そうして、始まる話の内容に……俺は、煙草に火を点ける事さえ忘れてしまっていた……。
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