小説(長編)

□ラスト・スマイル 第10話
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―君に抱く、それぞれの想い……―




〜千歳side〜


俺が謙也を迎いに行った時、謙也は何か思い詰めた顔をしていた。



俺は不安になって、謙也を呼びかけた。


何度目かの呼びかけに謙也は反応して、そして、そこに表情があることにホッとしたんだ……。


でも、本当に謙也は昨日の事を覚えていなかったから…



俺はまた不安に駆られた…。



そして、思わずそれが言葉にでてしまったが、謙也には聞き取れていなかったらしく、またそれにホッとして、俺は謙也に学校の中に入ろうと誘った。






暫く、他愛のない話をしていて、謙也にぎこちなくとも表情が…笑顔があることに安心していた時だった…。






謙也が改まって俺を呼ぶものだから、俺はそれに優しく聞き返した。



改まってどうしたんだろうと思いながら…。



そうして、謙也から出てきた言葉は、昨日も聞いた財前と別れた≠ニいう事……。



俺は、一瞬にして昨日の謙也の状態を思い出し、そして財前への怒りが込み上げてきた……。




黙っている俺を伺うように、謙也は話を続け始めた……。





「……でな、その時…、光が言ってたんよ…。」

「……なんて?」


昨日、聞いたのは別れたということだけ……。


財前はこんな状態の謙也に対して、まだ何か言ったのか?


「あ、あんな……、っ光、蔵のことが好きに…、なった…んやって…。」




!!!??

初めは、謙也が何を言っているのか判らなかった……。

それでも、俺の思考はどんどん冷静になっていく……。



思い出すのはそう……先ほどいた屋上での白石と財前のやり取り………。

互いに呼び方が変わっていたりと、急に仲を良くした二人の光景………。

でも、そこに疑問が湧き上がる…。




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