小説(長編)
□ラスト・スマイル 第7話
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――時に人は、冷静さを失い、誤った判断をする………――
4時間目の授業中……俺は考えていた…。
財前から、謙也と別れたと聞いた朝。
…正直、信じられなかった。ずっとうまくいっているものだと思っていたから。
なぜ?いつから?…そんな疑問が脳裏をよぎった。
財前の気持ちを聞いて、しょうがないことだと思うところもある。
けど、謙也の立場になってみたら?好きな相手に気持ちが重い≠ニ言われ別れを告げられたら?
……とてもじゃないが、俺には耐えられないだろう……。
今朝はそれ以上に、千歳との仲を取り持ってくれるとのことに気をとられ、深くは考えなかったが、やっぱり罪悪感が胸を過ぎる。
誰だって、好きな相手に別れを告げられたら、心に傷を負うだろう。辛くないはずはないのだ……。
―――だって、実際に謙也はまだ学校にきていない…―――
そんな時に、別れた相手がすぐ、他の誰かとイチャつくのを見たら―――……?
傷に塩を塗るようなもんだ……。
千歳の関係にじれったさを感じているとはいえ、親友である謙也をそこまで追い詰めるようなことは出来ない…。
後、少しなんだ。自分のプライドとかが邪魔をして、その一歩先に踏み込めないだけなんだ。
財前には、冗談でも自分から言っておいてなんだが、この話はなかったことにしてもらおうと思った。
「…やっぱ、自分でどうにかせな、あかんわ……。」
その時、丁度授業の終わりを知らせるチャイムがなった。
思い立ったらすぐ行動。俺は財前の教室へと足を運べた…。
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