小説(長編)

□ラスト・スマイル 第6話
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無言が続く中、やっと謙也の家の前まで来たが、一向に謙也の表情はないままだった。



俺は、謙也の意識がもぅ半分もないだろうと判断し、家のチャイムを押した―――



「はぁい」



数秒後、扉が開くととともに返事を返しながら顔を出したのは謙也の母親だった。



「あれ?千歳くんやんか。どうしたん?謙也だったら………。」




……まだ帰ってきていない≠ニ続くはずであった言葉は、謙也を見た途端、無き言葉となった。





「ぇ……け、んや?ど、どうしたん!?なんかあったんか!!?」



謙也の母親は顔を真っ青にし、すぐさま謙也に駆けつけ、そぅ問いかけた。




……確かに、謙也に表情がないのはおかしい。だからといってすぐに、こんなにも取り乱すだろうか?


それは…瞬時に何かを思い出し悲痛を浮かべ怯えているような、……そんな顔だった…。




「謙也!?謙也!!?」


「……ん、なんやおかん…。ぁ〜、もぅ家着いたんか。……ただいま……。」


「お、おん……。おかえり。」


「…俺、飯いらんわ……。なんや、めっちゃ眠いし……。」



そぅ言って、謙也は家の中へ入っていった……。



残されたのは、俺と謙也の母親。謙也の母親は、しばらく呆然としてたが、俺がいることを思い出しこっちを向いた。



「ぁ〜…、ごめんな、千歳くん。謙也、中に入ってもうたわ。送ってくれてありがとう。」


「……いえ。俺も、これで失礼します…。」


「ん、ほな、気ぃつけて帰りぃ…。」



そうして、その日は終わった―――





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