小説(長編)
□ラスト・スマイル 第5話
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俺が、君を覆う暗闇に触れた時…―――
俺は、3時間目の授業の終わりに学校に着いた。
あと1時間で昼休みのなるのもあり、授業を受ける気にはなれなくて、教室には向かわず屋上へと足を進めた。
屋上に着いたら、当然のように人はいなく、今までのことをゆっくり考え、整理出来ることに何故だかホッとする。
適当な場所へ腰を下ろし、考えるのは…………謙也の事だった。
今日の朝、学校へ一緒に行こうと謙也を迎えに行ったが、謙也は頭痛がするとのことで起きてはこなかった…。
謙也の母親には先に行っててくれ≠ニ言われたが、気がかりな事もあり、話しておいたほうがいいかと思って、
時間はあるかを確認し家へ上がらせてもらった。
俺が気がかりなのは……謙也の表情≠セ。
あれは昨日の部活帰り、通りかかった学校の近くの公園だった。
俺は、何気なく見た公園のベンチに謙也を見つけ、話かけた………。
「謙也?こんなとこに一人でおってどないしたと?」
「……………」
「…謙也?」
「…ん……なんや、千歳か……。」
謙也の声のトーンを聞き、嫌な予感が駆け巡る。なにしろ謙也と一緒に帰ったはずの財前がいないのだから。
「……財前はどないしたと?一緒に帰ったんぢゃなか?」
「…財前…?あぁ…光のことか…。」
一向に変わらない声のトーン…。
まさか…また、財前が浮気をしたか――?嫌な予感は深くなる。
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