小説(長編)

□ラスト・スマイル プロローグ
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神様、僕はとんでもない過ちを犯しました。


気付けなかった。失ってから、こんなにも自分にとって大事な人だったという事。



軽率な行動は全てを無きものにし、新たな関係が始まる事もなく、まるであなたの世界に僕の存在なんてない様に……他人になった。



僕はあなたの何を見ていたのだろう。僕はあなたの事をどれだけ知っていたのだろう。



僕から見たあなたは、単純で少しロマンチストで、照れ屋で、いつもいつも僕だけを見てくれていて……



何をしても、何をされても、ずっと僕だけのことを想ってくれるなんて思っていた。
そんな事、思うこと自体どうかしてるのに…





僕が罪を重ねる事に、あなたの心が静かに壊れていたのにも気付かずに、僕は自らの手であなたを手離した。


どうしたら、もぅ一度、僕のことを名前で呼んでくれますか?

どうしたら、もぅ一度、僕に笑顔を向けてくれますか?

どうしたら、もぅ一度、あなたを強く抱きしめることが出来ますか?





どうしたら、もぅ一度、僕のことを愛してくれますか?――



神様、どうか、どうかお願いします。彼を僕に返して下さい。

もぅ、傷つけないから。もぅ悲しませたりしないから。

もぅ二度と、手離したりしないから…。








ねぇ、謙也さん……。もぅ一度、俺のこと愛して下さい……―――







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