いただきもの

□砂時計
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『砂時計』






この瞬間は、いつまで続くのであろうか。












私の砂時計は、いつか零れ落ちて途切れてしまうのであろうか。







未来は、手を伸ばせばつかめるものではない。












だけど、そう、願わざるを得ない。







何日か先も、そなたの笑顔と共に、私が存在しているように…。




















近いのか…



遠いのか…






分からない。








人ごみの中かきわけて、私と沙也加は並んで街を歩く。









「それでね兼続ー!まだ続きがあるんだよ。そのままバイトしてたら店長がさぁ」

「はっはっは、どうなった?」







沙也加の他愛のない世間話に耳を傾けながら、

どうやって手を繋げることが出来るか、考えてみる。








このままでは遠すぎて、手をつなぐにも不自然だ。


…もう少しだけ近づいてみたいが、どうだろうか。








「いきなりヒゲダンスしながらレストランのフロア中を歩きだして」

「ヒゲダンス!?なんだ、それは…。」

「そっか。兼続は戦国時代の人だから分かんないのか、こうだよ。」








愛しい沙也加はにこにこ笑いながらその場で奇妙なステップを刻みだした。
通りすがりの人が若干驚いたように彼女を見つめている。









「はっはっはっ!!!!それはまた滑稽な動きだな!!!!おもしろい!!!!」

「変でしょー!?この動きしながら接客しようって言うんだよ!?」










相変わらず、彼女は奇妙なステップのまま歩いていた。




私にその状況を伝えるために、一生懸命なんだな。






「こうか?」


おもしろかったので私も真似をしてみた。





「…うーん、違う、もっと、手を、こう、ピーンってして!!!!」

「ぴーん?」

「そう!そう!そんなかんじ!!すごい、兼続、芸人やれば!!!?」

「まさか(爆笑)」








…これは……、





沙也加の時よりもかなりイタい周囲の視線…。




そんなに私がやるとインパクトがあるのだろうか…!?
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