企画

□△月○日
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△月○日


今日は久しぶりに**さんに会いました。

昔の俺も少しは成長したようで、最近10年前に呼ばれる回数は一時期と比べると格段に減りました。だけど、今日久しぶりに10年前の俺に呼ばれて行ってみれば、そこは懐かしい並盛町でした。懐かしいな、なんて思っていたら、これまた懐かしい声が聞こえて振り返れば、若かりし頃の**さんがいました。だけど、**さんの手はいかにもな男達に掴まれていて、今にも涙が溢れてしまいそうな状態でした。

気が付けば俺の身体は勝手に動いていて、簡単に男達を追い払うことができました。もう大丈夫ですよ、と声を掛けようと咄嗟に俺の背に隠した**さんを振り返れば、ボロボロと涙を流していました。泣いている**さんなんて初めて見たので、俺はどうしていいか分からなかったけど、昔**さんが俺にしてくれていたように、抱きしめてポンポンとあやすように背中をたたけば、しばらくして少しづつ泣きやんできました。

どうやら10年バズーカは故障していたようで、5分以上俺は10年前にいることができて、このときばかりは10年バズーカの故障に感謝しました。だって、泣きやんでも少しだけ震えている**さんを置いていくなんてできなかったからです。**さんを家まで送る間、会話はありませんでした。あと少しで**さんの家に着くという時に、10年バズーカの効果は切れてしまいました。だけど、目の前にボンゴレの家が見えていたので、俺は戻る直前に**さんにボンゴレの家まで走るように伝え、その背中を見送りました。


*****


「**さん、もう大丈夫ですよ。」

「うっ…、ひっく…。」

「家まで送ります。」

「でもっ、時間……。」

「あぁ、それなら大丈夫ですよ。今10年バズーカ故障してるみたいなんで。俺がここにいるうちに送らせてください。」

「**さん、そろそろ戻る時間みたいです。ほら、ボンゴレの家まで行ってください。そしたらボンゴレがなんとかしてくれるはずです。」

「あのっ、ランボ!ありが」

最後まで聞けなかったのが残念だった。だけど、**さんに会えただけで俺はいいんだ。だって10年前の**さんは俺のよく知る笑顔を俺に向けてくれた。

あれから2週間後、**さんは療養に入った。だけどそれから2年がたったのに、**さんはまだ戻ってこない。どこにいるのかもわからなくて、見送った日から一度も会っていない。

ねぇ、**さん。俺あの時よりも強くなったんだ、難しい任務も一人でこなせるようになったし、身長も伸びた。

だから、早くあなたに会いたい。

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