翡翠の龍舞

□甘く重なる二人の想い
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夜空(そら)に煌めく蒼い満月から静寂な光が降り注ぎ周囲を優しく照らし出す。
紫陽花の咲き乱れる小さな池では蛍が淡い燭となって静かに舞っている。
綾風(あやかぜ)の舞う日本庭園の小さな池の畔で月光のシャワーを浴び、紫陽花と蛍に祝福されながら唇を重ね合う二人の美少女の姿があった。
レッドブラウンのブレザーに小豆色とレッドブラウンのチェック柄のミニスカートという洛陽学園の制服に身を包んだ二人は瞳を閉ざし手を重ね合いながら甘く唇を重ね合う。
長い間唇を重ね合った後、二人は名残惜しげに唇を離し、互いを見詰め合う。
「陳宮…」
はち切れんばかりに瑞々しい肢体の上から直接着込んだブレザーとミニスカートにルーズソックスと言う刺激的な装いと翡翠のツインテールと不敵に輝く翡翠の瞳のワイルドな印象の美貌が特徴的な美少女…洛陽学園3年生、呂布奉先…は愛しげに呟くと先程まで口づけを交わしていた美少女…洛陽学園2年生、陳宮公台…を見詰める。
ブレザー(カッターシャツ)と言う装いてオレンジ色のショートヘアとエメラルド・グリーンの瞳が印象的な美少女は呂布の言葉を受けると幸せそうに微笑みながら愛する女(ひて)の言葉に頷きを返す。
陳宮の幸せに満ちた笑顔を見詰める呂布の胸中に二人が唇を重ねるまでの経緯が飛来する。
呂布奉先の名前を背負い恐れ、蔑まれ孤立していた自分の傍らで寄り添い心を籠めて尽くしてくれた陳宮…「腰巾着」、「親衛隊長」、周りになんと言われようとも迷う事無く尽くしてくれる陳宮は呂布にとってかけがえの無い存在であり、呂布が唯一心を開く存在であったが
最近、苦しそうな表情を見せる時があった。
自分と共に歩く事が苦痛になっているのでは?呂布は悩み、大切な陳宮の苦悩を想いいたたまれない想いに苛まれた。大切な陳宮を苦しめたく無い、自分と歩まなければ陳宮は苦しまなくて済む…そう思いながらもたった一人の大切な存在を失う事を恐れた呂布はそれを切り出せずにいた。
そしてこの日、陳宮から夜、庭園に来て欲しいとの言葉が告げられた。
別れを告げられると感じた呂布は夜の庭園に向かい、せめて陳宮を傷つけ無いように自分から別れを切り出した。
しかし陳宮から告げられたのは意外な言葉であった。
「呂布様、私は貴女を愛しています。」
そう告げた陳宮はカタカタと小さく震えながら想いに戸惑い苦しんでいた事を告げてくれた。
「呂布様、私は他の誰に何と言われようが貴女に仕え、尽くす事は苦痛でも何でもありません。貴女に命を賭けると決めたと言う言葉に嘘はありません…それだけは信じて下さい。」
陳宮がそう告げてくれた瞬間呂布は陳宮の身体を抱き締めていた。
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