翡翠の龍舞

□ハート・キャッチ・ガール
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陳列された青果や肉類の詰まったパックが蛍光灯の淡い光を浴びて輝いている。
惣菜品販売ブロックでは、タイムサービスを狙う買い物客が集い、喧騒に包まれている。
夕食の食材探しの客で賑わう夕暮れ時のスーパーマーケットの一角に買い物籠を手にした制服姿の美少女の姿があった。
レッドブラウンのブレザーに小豆色とレッドブラウンのチェック柄のミニスカートに黒ソックスをキッチリと着こなし、オレンジのショートヘアとエメラルド・グリーンの瞳を持つ美少女、洛陽学園二年生の陳宮公台は幸せそうな微笑みを浮かべながら買い物籠に食材を入れていた。
(呂布様///)
陳宮はブレザーの胸ポケットに手を当てながら、胸中で最愛の女(ひと)…洛陽学園三年生の呂布奉先…の名を呟いていた。
ポケットの中に入っているのは一本の鍵……。
「これ、渡しとくね///」
今日の昼休み学園の中央庭園にて少し頬を赤くした呂布から託された一本の鍵…。
「……あたしの部屋の合鍵よ///」
陳宮の脳裏にそう言ってくれた呂布の表情が思い出される。
(………///)
陳宮は幸せ一杯の微笑を浮かべながら買い物籠を手に店内を進んで行く。
籠の中では二人分の食材が照明を受け、淡い光沢を放っていた。
呂布自宅マンション付近
「ちょっと、遅くなっちゃったな」
宵闇に包まれた高級マンション近くの公園の傍らを通りながら、呂布は腕時計を手に溜め息混じりに呟いていた。
街灯の光を受けた翡翠のツインテールがキラキラと輝きながら夜風に舞い、髪と同じ翡翠の瞳が静かな輝きを放っている。
引き締まり魅惑的な肢体に直接羽織ったレッドブラウンのブレザーが扇情的な魅力を更に高めている。
素肌に直接羽織ったブレザーにミニスカート、ルーズソックスと言う刺激的な装いの呂布は腕時計から視線を外すと自分が住む高層マンションに視線を上げ、怪訝そうな表情を浮かべた。
「あれ、電気点いてる…?」
一瞬不思議そうな表情を浮かべた呂布だったが次の瞬間にはその表情が柔らかく緩む。
「陳宮…」
そう呟いた呂布はマンションに向けて弾む様に駆け出した。
呂布自宅
鍵を使い自宅の玄関に入った呂布は靴置場に置かれた陳宮の靴を確認すると表情を柔らかく緩めながら靴を脱ぎ、自分の靴を陳宮の隣に並べるとダイニングに向かう。
(陳宮…何してるのかな?)
微笑を浮かべながらダイニングへと足を進めた呂布の身体がピタリッと止まる。
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