紅の月

□組紐屋の美香…真・必殺仕事人…
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表店(おもてだな)の往来は通行人で溢れ賑やかな喧騒と笑い声に包まれていた。
賑わう往来の中を美しい少女が歩みを進めていた。
鮮やかな着物に美を包んだ少女はワインレッドのショートヘアに色素の薄いアメジストの瞳を持つ美しい少女…両替商紅屋(くれないや)を営む紅屋龍兵衛(くれないやりゅうべえ)の娘であり妹の妹の明倫(めいりん)と共に小町姉妹と呼ばれる美少女留奈(るな)…はのんびりと往来に歩みを進めていた。
弾む様に歩みを進めていた留奈は賑わう往来の中見知った顔を見つけると小走りに駆け出しながら明るく口を開いた。
「お〜い♪美香♪」
「留奈ちゃん」
留奈に明るく声をかけられた美女…後ろで纏められたブラウンの長髪にエメラルド・グリーンの瞳の持ち主である組紐屋を営む美香は優しげな微笑を浮かべながら留奈の方に向けて歩みを進めた。
「仕事?」
「うん…向かいの桝屋さんに組紐を卸して来たの…留奈ちゃんは?」
「お師匠様の所で三味線を習った帰りだよ♪」
美香は留奈の言葉に頷くと留奈と並んで往来に歩を進めて行った。
「三味線…上手くなった?」
「う〜ん…自分では少しは上達したつもりなんだけど…今度美香に聞いて貰おうかな♪」
美香の言葉を受け留奈は明るく言葉を返し返答を受けた美香は微笑みながら留奈の言葉に頷きを返した。
「あ〜あ、ちょっとお腹空いちゃったな〜」
留奈が小さく伸びをしながら呟くとお誂え向きに天秤棒に器や釜等を積み込んだ蕎麦切り(そばの事)屋が往来を進んで来るのが確認された。
「ねえ〜美香お蕎麦食べよう♪」
「…そうだね私もお腹空いちゃったし…」
美香の言葉を受けた留奈は笑顔で頷きながら蕎麦切り屋を呼び止めた。
蕎麦切り屋は近くに空いた場所を見つけると二人を招き手早く湯を沸かし蕎麦を潜らせると温かな湯気を立てる蕎麦の入った椀を二人へと差し出した。
二人は椀を受け取ると近くに置かれた角材に腰を降ろすと談笑しながら温かな蕎麦を食べ始めた。
留奈と談笑しながら蕎麦を食べていた美香は留奈が手にした巾着袋の紐が自分が編んだ組紐である事に気付くと照れた様な微笑みを浮かべながらそれを見詰めた。
「…美香の編んだ組紐…凄く綺麗だったからあたしの巾着袋の紐にしたんだよ…」
美香の視線に気付いた留奈は笑いながら巾着袋を掲げて見せそれを見た美香も嬉しそうな微笑みを浮かべながら留奈を見詰めた。
 

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