静なつ部屋

□約束は記念日に
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「クリストローゼ」
激しい音と共にドアが開かれたのに小さなケーキ店「クリストローゼ」のウェイトレス、ティナ・アイゼンベルク(最近正式にセリーヌと婚約)は驚きながらドアの方を向くと。
「やっぱり…」
ティナの呟く視線の先には…煌めく黒い長髪に翡翠の瞳のクール・ビューティ、風華大学一年の玖我なつきの姿があった。
「や、やっぱり…って?」
「なつきちゃん、いくらあたしだって2回目だったら免疫がつくよ(拙作「決戦は創立記念祭」参照)それに、ちょうど話してたし…ねっ。」
「は、話してたって…」
嫌な予感と共に喫茶コーナーを向いたなつきに…
「ぷっ、くくく、な、何あの話マジだったのうっくくっ、」
「ち、ちょっと…奈緒…な、なつきに…くく…わ、わるいわよっぷぷ…」
「…だ、駄目だじゃ…ない…ま、舞衣ちゃ…ん、もわ、笑ってる…じ、じゃないの…」
「あおいも………他人(ひと)の事………言えないし…」(笑いを堪えつつ)
「お前ら、全員最低だ!!」
爆笑する結城奈緒、鴇羽舞衣、瀬能あおい、原田千絵に力一杯怒声を放つ茹でダコ状態のなつき…
「まあまあ、なつきちゃんもうちょっと待っててね、セリーヌ呼んで来るから…」
ティナが奥に向かうとなつきは真っ赤な顔でそっぽを向く。
「ね、ねえっ、っぷぷぷ…ら、ラード女…っくくくど、どうしたのよ…」
「っくくく…そ、そうよ…あ、あんな顔して、は、入ってきて…」
「……わ、私達でよかったら…そ、そうだ…ん…の、乗るよ…」
「…………いや、多分駄目だろう…わざわざ…エキスパートに…聞きに来たんだし……」(やっぱり笑いを堪えつつ)
「お前ら笑うかしゃべるかどっちかにしろ!!」
店内に再びなつきの怒声が響き渡った。

「セリーヌ、お店閉め終わったよ。」
ティナの言葉にセリーヌ・アイゼンベルクは静かに頷いた。そして傍らの奈緒達に話しカかける。
「沢山食べて下さいね」
「ラッキー♪ここのケーキは美味しいからね。」
「でも本当にいいんですか?」
舞衣の言葉にセリーヌは優しく微笑み頷く。
「もう閉店ですから、それに、口止め料込みですから…」
「な、成る程なら遠慮なく。」
「んーっ幸福。あっ、千絵ちゃん、苺のミルフィーユもう一個取って。」
「苺のミルフィーユ好きなのはわかるけど、もう少し他のケーキも食べなよあおい。他のケーキも美味しいのに…」
「何故こいつらも一緒にいるんだ?」
血の気の引いた顔で呟くなつきにティナが笑いかける。
「変に話が漏れても困るじゃない…」
ティナの言葉に血を吐きそうな表情でなつきが頷いた。
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