静なつ部屋

□貴女が愛しくて
1ページ/1ページ

目が覚めた玖我なつきは自分が恋人藤乃静留に抱き抱えられている事に気付き顔を真っ赤にしてしまう。
静留は安らかな寝息をたてながらスヤスヤと眠り込んでいた。
(……そういえば、静留の寝顔をこんなにじっくり見るのは、久しぶりだな。)
なつきは抱き抱えられたまま静留の寝顔を覗き込む。
静留の亜麻色の長髪は柔らかな陽光に光り輝き綺麗な真紅の瞳は閉じられたまま睫毛が寝息にあわせて微かに揺れている。
(…疲れているのに…あんなに…は、激しい…事…するから…)
なつきは昨夜の行為を思い出し、これ以上ないくらいに顔を赤くしてしまう。
休日の前日の夜なつきと静留は激しく身体を重ね合わせていた。途中から記憶が所々飛んでしまう程激しく愛されたなつきは最後は静留の腕の中で崩れ落ちるように眠りについたのだ。
昨夜の事を思い出し赤くなっているなつきが見つめていると、静留は微かに身じろぎして瞳をゆっくりと開く。
「……あっ、おはよう…なつき…」
「ああ、おはよう、静留…大丈夫か?…疲れてるのに…その、あんな…激しい…っその」
赤い顔でしどろもどろに話すなつきを見つめていた静留はたおやかに微笑みながら…。
「ふふ…そんな真っ赤になってしもうてからに…ほんま、なつきはかいらしおすえ…」
「…っえ、ちょっ…しずっうん…っはあ」
なつきの唇は静留の唇によって塞がれてしまう。
(す、凄…い、き、昨日の…余韻…残ってるから…)
なつきは夢中になって静留の唇や舌を味わう。静留の唇や舌はなつきの反応を楽しむように動き、なつきの頬はは甘く濃厚なくちづけに桜色に染まり、甘い溜息がくちづけの合間に唇からもれだす。翡翠の瞳は半ば閉じられ潤んだ瞳が静留を見つめる。
(ほんま…かいらしいわあ…なつき…)
静留も夢中になってなつきの唇を味わう。
長く濃厚なくちづけが終わり、静留は自分の唇をなつきの唇から離してゆく。
唾液の糸が二人の唇を繋ぎなつきは上気した表情で静留を見詰める。
(静留…本当に…綺麗で愛しい…大切な貴女…)
(なつき、うちは貴女が本当に、愛しいんおすえ…)
なつきと静留は互いを見つめあう。愛する気持ちを視線にこめて二人は無言で見つめ合う。
「…勘忍な、なつき、お腹すいたやろ、すぐご飯作るさかいな…」
「…あ、謝る必要はない…その…私だって…静留に…キスして貰って…嬉しんだから…」
俯き真っ赤になって呟くなつきに静留は耳元に顔を近付ける。
「ぎょうさん、食べておくれやすな、なつき、沢山愛しあいたいさかいな…」
「なっ、いい、今から…だと?」
「なつきの、かいらしい姿見てたらな…うち、我慢出来ひんのよ。」
静留の呟きになつきは俯いてしまいながらポツリと呟く。
「……沢山ご飯作ってくれよ…体力…使うからな。」
消え入りそうななつきの声に静留はなつきの頬に軽くキスをして起き上がる。なつきは愛しい恋人の姿を顔を赤らめながら見つめていた。


貴女が愛しくて 終了

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ