紅の月

□愛しき月を護る為
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「内務省についてはこちらで情報を収集する。二人はタカナシ二佐の情報を集めて欲しい。」
「よお解りました。せやったら早速…なつき行きますえ…」
「ああ…」
カガリの言葉を受け敬礼した後に静留となつきが退室するのを確認した後カガリは傍らに視線を向け口を開いた。
「そう言う訳だ…出来るか?」
「……問題無く…」
カガリの言葉に片手を眼鏡に添え持ち上げながらカガリの傍らのデスクで作業をしていたオーブ軍国防府情報局長、明智ミツヒデ特務少佐はコンピューターを素早く操作し始めた。
流れる様な動作でコンソールを操作しながら画面をチェックして行くミツヒデをカガリは感嘆の表情と共に見詰めていた。
「相変わらず見事だな…」
「それ程でも…」
カガリの言葉に応じながらもミツヒデの視線は画面から逸らされる事は無かった。
カガリはミツヒデの作業を邪魔しない様それ以上声をかけるのは控え山と積まれた書類に視線を戻した。
オーブ首都近郊タカヤ邸
「タカナシ二佐…プランの進捗状況はどうかね?」
深夜の首都近郊、内務省事務局長タカヤ・ワイズバークの邸宅の地下に設けられた一室でタカヤはタカナシ二佐に声をかけた。
タカナシは苦虫をかみつぶした様な表情を浮かべながら口を開いた。
「はかばかしくは無いな…協力を約束した部隊は未だ皆無…あんな小娘に尻尾を振るとはな…」
「仕方ないさ、カガリ閣下は国民の人気者だ…だからこそ、穏便な形でご協力願いたいが…」
「しかしながらあの小娘は跳ねっ返りのじゃじゃ馬娘…我々に協力しろと言ってもはいそうですと言うとは思えないがな」
タカナシの言葉に頷きながらタカヤはブランデーが満たされたグラスを傾けた。
「やはりカガリ閣下の人気の高さが問題だな…」
「ああ、それがどうにかならない限り計画は進捗しない…」
タカヤは静かに笑いながら口を開いた。
「人気の高い政治家にとって1番怖いのはスキャンダルだ…特に異性交遊や汚職、癒着等は致命的とさえ言える。」
「そんな物が有れば苦労しない…」
タカナシがぼやくように呟くとタカヤは低い笑い声と共に口を開いた。
「スキャンダルは見つける物じゃ無いよ、造る物なんだよ…タカナシ二佐…忘れちゃいけない…我々には後ろ盾がいる事をね…」
そう言うとタカヤはグラスを傾け琥珀色の液体を飲み干した。
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