紅の月

□愛しき月を護る為
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甘味屋「土佐之国」
オーブの首都近郊に存在する甘味屋「土佐之国」…落ち着いた和の雰囲気に包まれた店内のテーブルを3人の美女が囲んでいた。
「どないしはったんどす?」
浮かない表情のまま俯くミカに藤乃静留少佐が心配そうに声をかけ、玖我なつき少佐も心配そうに翡翠の瞳をミカに向けながら口を開いた。
「ルナマリアはどうしたんだ?公式の場で離れてるなら分かるが今日は休日の筈だろう?」
「ルナちゃんは大使に要請されて随員として出発してるの…」
溜息を零しながらミカはポツリポツリと続けた。
「ルナちゃんに何かあったみたいなの…最近ルナちゃんの様子が変なの…私に心配かけさせたく無くて…黙っているのが分かるから…何も聞けないけど…ルナちゃん…苦しんでる…」
絞り出す様に呟くミカを静留となつきは痛ましげに見詰めていたが…
「多分オーブ(うちら)の馬鹿がはんやしはったんどすなあ…」
静留が緋色の瞳をスウッと細めながら小さく呟いた。
「た、多分な…」
若干引き気味になりながら同意したなつきに対してミカが申し訳無さそうに頭を下げながら呟いた。
「何があったのか調べて貰えますか?」
「まかせよし…うち気張りますえ…」
「任せてくれ…ミカさんも元気を出してくれよ。」
静留となつきの言葉にミカは漸く微笑みを浮かべながら頷いた。
「ミカさん…かわいそう…ねえ…長曽我部さん…あたし達も手伝おうよ」
ウェイトレスとしてバイトをしていたミーア・キャンベルの言葉に「土佐之国」の店主である元地球連合軍少佐、長曽我部基久は小さく頷きながら続けた。
「九重は大切な戦友(とも)…ならばその危機には力を貸すのが必定…」
長曽我部の言葉にミーアは嬉しそうに微笑みながら頷いた。
数日後オーブ国防本部
ミカとの会談から数日後静留となつきは元首であるカガリ・ユラ・アスハから呼び出しを受けて国防本部に出頭した。
「……そうか、九重さんが既に貴女達にそんな事を…」
カガリは静留達の言葉に頷くと唇を噛み締めた。
「なんぞ心当たりがあるんどすか?」
静留の言葉にカガリは頷きながら迎賓館での一幕について二人に説明した。
「そうだったのか…何だって奴らはそんな事を!」
憤りの声をあげたなつきに対してカガリは首を振りながら吐き捨てる様に呟いた。
「使節団の一員にあんな無礼な行動をする等…信じられん…私からも二人に頼む、あいつらが一体どう言うつもりであんな事をしたのか…調査して欲しい…」
カガリの言葉に静留は大きく頷きながら口を開いた。
「気張ります…せやけど軍の事はともかく内務省の事はちょお…」
静留の言葉にカガリは頷きながら言葉を返した。
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