紅の月

□愛しき月を護る為
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「今度は途中で裏切ったりはしない様にして貰おうか…」
(何なのよ…さっきからコイツ等…)
ルナマリアは怒りを必死に押し隠しながら壮年の男性を見詰めていた。
「大丈夫ですよタカナシ二佐…」
タカヤの言葉にタカナシは小さく鼻を鳴らしながらルナマリアを見詰め呟いた。
「どうだかな…同性愛なぞにうつつを抜かしているパイロットなんぞ信頼出来ん…」
「……何が言いたいんです…」
タカナシの言葉にルナマリアは怒りを滲ませながら口を開いた。タカナシはルナマリアの様子を見ると小馬鹿にした様子でルナマリアを見詰め呟いた。
「男を知らんのだろう…お前さんは…だから…同性に恋をして…それにうつつを抜かしてしまう…世も末だな…こんな奴らが持て囃されるとはな…」
「タカナシ二佐…彼女と九重ミカとの関係はあくまで噂にすぎませんよ…そんな訳があるはずがない…」
タカヤとタカナシが無遠慮に投げ掛ける言葉は刃となり、ルナマリアに突き刺さってゆく。
ルナマリアは俯き唇を噛んだ…勝ち気なアメジストの瞳に涙がたまり零れ落ちそうになるのを彼女は必死に堪えていた。
「…そんな筈がないでしょうタカナシ二佐…同性愛等とは…噂ですよ。出生率の低下に悩むコーディネーターが同性愛等…ある筈が無い…」
不躾な台詞に心をえぐられルナマリアは心の中で悲鳴をあげていた。
(もう嫌…こんな奴らの話なんか聞きたく無い…早くどこかに行ってよ)
ルナマリアの内心を他所に二人は無遠慮にルナマリアを見詰めるなめ回す様な視線にルナマリアは内心の嫌悪感を隠すのに必死だった。
「…し、失礼します…」
吐き捨てる様に言ってその場を離れ様としたルナマリアにタカナシが見下した笑みを浮かべながら口を開いた。
「せいぜい大切な恋人の所に行って慰めてもらえよ…お「恥という文字を知らんのかお前達は…」
言葉を遮られたタカナシが声のした方向に視線を転じ顔を歪めた。カガリは金色の瞳を怒りに輝かせながら二人を睨みつけたタカヤがたじろぎながら口を開く。
「カガリ閣下私達はなにも「この会談はプラント我が国の関係の為に重要な会議だ…それをお前達はご破算にさせたいのか…目障りだ…失せろ!」
「全くカガリ閣下には冗談が通じない…」
ぼやきながら立ち去るタカナシとタカヤを睨み据えた後カガリはルナマリアを見詰めると声をかけてきた。
「別室に行こう…」
気遣うカガリの言葉にルナマリアは小さくコクンッと頷いた。
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