紅の月

□愛しき月を護る為
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オーブ迎賓館
プラントより、派遣された特使とオーブ元首のカガリとの会食会がここ迎賓館にて行われていた。
終始和やかな雰囲気で会食は進み現在は歓談の時間となり会場は賑わいを見せていた。
ルナマリアは少し居心地が悪そうにジュースの入ったグラスを傾けていた。
(なんかすっごく場違いな感じなんだけどな、あたし…)
特使に請われてミカと共に会食会に参加はしたものの慣れない雰囲気に気後れと気疲れが生じていた。
小さく溜息を漏らすとルナマリアはぼんやりと周りを見詰めていた。
(ミカ…どうしてるかなあ…)
ルナマリアはぼんやりと会食会前の愛しい恋人との会話を思い出していた…。
「私達も外交団の一員だから…あんまり皆の前ではくっつかない様にしようね…私もとても寂しいけど…」
(ミカの言う通りだもんね…)
ミカの言葉にルナマリアは内心で頷いていた。隠すつもりも恥じるつもりも無い大切なミカとの恋…だが今回二人は外交団の一員でもある…その為にはお互いに公の場所では距離をとる事に決めたのだ…。
「お疲れの様ですが大丈夫ですか…」
突然かけられた声にルナマリアが驚いて声のした方向を見るとオーブの政府高官の服装に身を包んだ男性がにこやかに微笑みながらルナマリアを見詰めていた。
「いえ、大丈夫です。慣れない場所ですので少し緊張してしまって…」
ルナマリアは当たり障りの無い返答を返すと丁寧に頭を下げた。
相手は慇懃に頭を下げて応じると口を開いた。
「内務省事務局長をしております。タカヤ・ワイズベルクと申します。」
「ルナマリア・ホークです。よろしくお願いします。」
ルナマリアの自己紹介にタカヤはにこやかに微笑みながら頷いた。
「そうですか…貴女が…最後の最後で我々の側に立ったお方ですか…」
(何っ…こいつ…)
ルナマリアは含みのあるタカヤの言葉に内心で不快感に顔をしかめた。
「正に最高のタイミングでしたね…私としてもあのタイミングの取り方は大いに参考になりますよ…」
(コイツッ!!)
ルナマリアは怒りを押さえる為に唇を噛み締めた。指先が白くなる程に拳を握りしめながらタカヤを見詰めていると、彼はルナマリアの様子に構う事無く話を続ける。
「これからも我々オーブをよろしくお願いしますねルナマリアさん…」
にこやかに微笑む、タカヤの傍らにオーブ軍の軍服に身を包んだ壮年の男性が進み出て来た。彼はルナマリアを見詰めると嘲笑を浮かべてながら口を開いた。
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