翡翠の龍舞

□戦姫繚乱…メイド・オブ・ザ・デッド…
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序章「滅びの前奏曲」
5月31日河豚料理屋「鉄砲屋」
「総理大臣は先程記者団に対して日本周辺空、海域で感染者の発生した航空機、船舶から緊急連絡を受けた場合、人道的見地からこれを受け入れる事を表明しました。総理はこれに関連してロシア空軍の戦闘機が感染者の乗った旅客機を撃墜した事に対して強く遺憾に思うとも延べています。繰り返しおつた…」
店の主がチャンネルを切り替えると画面はプロ野球のセパ交流戦へと切り替わった。
「撃墜以外にどんな選択肢があるのかしら…」
ニュースキャスターの言葉に耳を傾けていた美女はポツリッと呟くとグツグツと煮え食欲のそそる匂いを放つふぐちりから河豚の身を取り出し、口に含んだ。
翡翠の髪をツインテールに纏めあげ髪と同じ色の瞳は不敵な輝きを放ちその美貌にワイルドさというアクセントを加えている。
白い上着に黒いミニスカートという装いに包まれた肢体は、はち切れんばかりに瑞々しく見る者の視線を釘付けにする。
野性味溢れる美女、呂布奉先の言葉を受けながら、彼女の目の前に座る美女は美味そうにヒレ酒を飲み干した。
燃え立つような紅蓮の髪をポニーテールに纏めあげ金色の瞳を持つ美貌は呂布に似た奔放さと野性味に溢れ、呂布に匹敵若しくは凌駕する程に魅惑的な肢体が見る者を惹きつけている。
ヒレ酒を飲み干した美女、織田ノブナガは口元を拭いながら皮肉げな微笑と共に口を開いた。
「仕方あるまい、この国の連中には根本的に危機管理能力が無いのじゃからな…」
呂布はヒレ酒が満たされたコップを手に取りながらノブナガの言葉に同意するように小さく頷く。
「ゾンビが発生してから一ヶ月、この短期間で発生した北米から中南米、ヨーロッパ、中近東にまで感染が拡大した理由が感染者を載せた船舶や航空機にあるにも関わらずにそれらの受け入れを表明した。」
「この国は未だにゾンビの存在を否定しておる。呆れた話じゃがな」
ノブナガはそう呟きながらウェイトレスを呼ぶとヒレ酒の追加を注文しつつ河豚の唐揚げを箸でつまみ上げ紅葉おろしを混ぜたポン酢に軽く浸した後口へと放り込む。
呂布はノブナガの様子を見ながらコップに残ったヒレ酒を一息に煽ると河豚の薄造りが盛られた皿に箸を伸ばしているとウェイトレスがノブナガの注文したヒレ酒を運びながら二人に向けて来客が来た事を伝え、それに誘われる様に精悍な面持ちをした二人の男性が会釈をしながら座敷に上がって来た。
「随分遅かったわね…」
「お待たせしたようで申し訳ありません。」
呂布の言葉を受けた男性、陸上自衛隊に所属する長曽我部基久一等陸尉と羽島猛三等陸尉が苦笑混じりに頭を下げるとノブナガが笑いながら口を開く。
「気にするな…美味いヒレ酒を堪能できたぞ♪」
「河豚も中々イケるわよ♪」
呂布達の言葉を受けた長曽我部が小さく頷くと呂布は表情を鋭くさせながら長曽我部達に向けて口を開いた。
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