たんぺん

□サイハテ
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ねぇ、裕太。

そこってどんなところかな。

無事にたどり着けるかな。

裕太のことだから迷ってそうだよね?

ちゃんとたどり着けたなら手紙でも送ってよ。

何回でも、何万回でも読み返すから。

手紙だけでいいから。

会いたいなんて我儘、言わないから。





まばゆい光の差し込む扉を開いて

笑顔でさよならを言う、裕太の夢を見た。

そこに貴方が、

裕太が居るのなら

この声、祈りが届くといいな。





朝起きて窓を開ける。

そこから見える雲一つない空は

まるで裕太が私たちを悲しませないようにしているようで

余計悲しくなる。

でもこんな晴天の日は

お別れにぴったりなんだろうね。





なんの変哲もない、誰でも体験しているような

つまらない日々を、私の心を

真っ赤に、とても綺麗な赤に染め上げてくれた、

そんな恋だった。

暖かくて優しい、今までに感じたことのないような愛だった。





裕太のことだからまた私に会いにくるんだろうね。

いつものぼけーっとした笑顔で

私の名前を呼んでくれて

痛いくらいにきつく、抱きしめてくれる。

そう思うともう、涙はでないよ。





まばゆい光の差し込む扉が閉まれば

もう「裕太」とは離ればなれだね?

空高く舞い上がる、裕太の煙は

一つになって、いつか雨になる。

今の私みたいに。




ねぇ、裕太。最期に我儘を聞いてくれるかな。


もう、裕太のことで泣かないって約束する。

だから今は、今だけは






(泣いても、いいよね)








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