白翼の扉(短編小説)

□コスタでバカンス!
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「やった〜!!念願の二人でバカンスだぁぁ〜!!!」

厳しい任務を終え、珍しく二人揃って長期の休暇が取れて。

アンジール的には のんびり過ごす予定だったのだが…。 

ザックスの熱烈お願いビームにめろんめろんにやられ、二人はコスタデルソルに来ていた。


「ア・ン・ジー・ルってばぁ〜!せっかくの海なんだから 泳ごうぜぇ〜!」

ビーチパラソルの下で寝ていた俺に、甘えてザックスがまとわりついてきた。 

まさに子犬…。そこが可愛くてたまらないのだが。 

もちろんお互い水着だ。ザックスがじゃれつけば その気がなくても直接肌が触れ合う。 

『う〜ん、これは案外楽しいかもしれない…。』

普段はバカがつくほど真面目で堅いアンジールだが、時としてザックス限定でオヤジ化してしまうのだった…。


「それよりもザックス、サンオイルを塗ってやろうか?」

アンジールがオイルのボトルを手にニッコリと微笑んだ。

「マジ?ありがと!」

無邪気に喜んで、ビーチマットに寝転ぶザックス。 

「まずは背中から…。」

そう言ってアンジールは、ソルジャーにしては華奢なつくりの背中、足、順に丁寧にオイルを塗っていった。 

「あ〜なんか気持ちイ…。眠くなっちゃうカモ…。」
ザックスの瞳が眠気でトロンとしてくる。

「眠いならそのまま眠ってもいいぞ?前側も俺が塗ってやるよ。」

優しく話しかけてやると、コロンと素直に仰向けになるザックス。

クスッと笑うアンジールの目は超邪気で…。 

仰向けになったザックスの体に、わざと高い位置からオイルを垂らす。 

その感覚にザックスが微かにピクッと反応した。 

アンジールは手のひらで ゆっくりとオイルをのばしてゆく。みぞおち周りからわき腹、下腹部ギリギリまで…。

ふるふると小刻みに震えだすザックスの体。 

それには気付かないフリをして、そのままゆっくり胸の方へ手のひらを滑らせてゆく。 

初めは中心を外して円を描きながら 徐々に指先をかすめていく。

「んっ…。」ザックスが小さく声を洩らした。 

それを合図に 今度は大胆に小さな突起をクリクリと指先て弄りだした。 

「ヤ…ッ!!あぁッ!」

その瞬間、ザックスは全身にビリッと電流が流れたように飛び起きた。 

「アンジール!何すんだよ!」顔を真っ赤にして噛み付いてくるザックス。

ああもう 本当に可愛くて仕方ない。

「すまん、ザックス。お前の裸を見ていたらつい、な。」からかうようにニヤリと笑えば。

「裸言うなー!ってか急にオヤジ化してるぞ!」

少しやり過ぎたか、と思いなだめるように頭をなでてやると、小さな声でザックスが言った。 


「…で、どうすんだよ。」

「お前はどうしたい?」 

「…部屋に…戻りたい。」

結局この日浜辺にいたのは小一時間ほど。

ザックスには申し訳ないが、日焼けする暇もないほど抱き合っていたいんだ。 

このバカンスが終われば、また命懸けの厳しい任務の日々が待っている。


ここにいる間だけは、ただの男として お前に溺れていたいんだ。 


このバカンスを楽しみにしていたのは、ザックスよりも むしろ自分だった事に気付き、アンジールからクスクスと笑いがもれた。


「俺も相当末期だな…。」

疲れて眠るザックスの頬を撫でながら呟いた。 

「明日は何をしようか?」

また明日も晴れるといい。おやすみ、ザックス。



       おわり

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