再会の扉(長編小説)

□星の意思を継ぐ者
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   恐怖を克服し

 己の信じる正義を貫く


 誇り高きソルジャーよ 

 お前達が 我らの 

  最後の希望… 



その胸に誇りがあるならば

 成すべき事を成せ 


己の責務をまっとうせよ…  



もうすぐ星に災厄が訪れる  ………………。 






強い光を感じ、たまらずアンジールは目を開いた。


「ここは…どこだ?…俺は生きているのか?」


見知らぬ部屋で目覚めた。何故自分は、生きてここにいるのか、あれからどれ程の日数が経過したのか、理解できない事だらけだ。


きしむ身体を無理矢理起こし、辺りを見回すが、人の気配が全く無い。 


螺旋状の階段をどうにか降りて、外に出てみる。 

アンジールは目の前に広がるその景色に驚愕した。 

「こっ…ここは…」


貝殻を型どった不思議な建物。降り注ぐ淡い光。 


セトラの民…。
忘らるる都。



「そういう事か…!」

アンジールは一瞬にして、状況を把握した。


意識の無い間、頭の中で繰り返されていた言葉。


「成すべき事を成せ、か……。」


今、生きている事も、この場所にいる事も、全てライフストリームの意思。 


俺はソルジャーとして生きる事を許された…。 


俺は…赦されたんだ…。


知らず知らず、熱い涙が静かに頬をつたっていく。




「考えなければならない事が沢山あるな。」

自分は何をすべきか。災厄とは何なのか。親友はどうしただろう。
それに、ザックスは…。 

「ザックス…。」


口にして実感する。 

会いたい 今すぐに。 
会って心からの謝罪を。

弱かった俺を 立ち向かう事を諦めてしまった俺を 

今度は間違わない。自分の運命から決して逃げない。

それをお前に伝えたい。



そんな時。いきなり頭の中に直接響いてくる声。 

『…カ…ガ……み…』  
「カガミ?」

アンジールが辺りを見回すと、建物の入口付近に、丸い鏡のような物が輝いている。

「これの事か?」


そっと触れてみると、はっきりと声が聞こえてきた。 

セトラの民は、これを使って星の声を聞き、理解していたのだ。 

ライフストリームによって生かされた今、アンジールも多少、声を理解できるようになっていた。 


『これから  起こることは  彼らの  戦い。 
 己で   乗り越え
  なければならない  
 自分自身との  戦い     でもある。 


   導きなさい…。』


その声とともに、フラッシュバックのように浮かぶ、映像の欠片。 

これから起こるであろう出来事なのだろう。 


自分には自分の戦いがあったように。 

彼らにも、彼ら自身が成さねばならない戦いがある。

それを手助けする事は決して許されない。 

ならば道を誤らぬよう、陰ながら導こう…。 



それが星の意思ならば、全てをかけて全うしよう。 




 ライフストリーム… 

   生と死

 過去と未来の狭間を

 行きつ… 戻りつ… 

その先 その果てに

  何を見ているのか…

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