再会の扉(長編小説)
□消えない傷痕
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あの一件で、無理矢理、コスタで休暇を取らされる羽目になったザックス。
タークス二人のオマケ付きで。
「俺、もしかして干されてるのか!?」
ブツブツ言いながらも、南国の陽射しと暑さが、心の中の暗闇を一気に晴らしてくれるような感じがした。
それに先日。
一人で抱えていた痛みをセフィロスが何も言わず、理解してくれて。
それがとても嬉しかった。
無理をするな、と肩に置かれた、あの手。
アンジールとは全く違うはずなのに、同じ温もりを感じさせる手。
俺はまだ一人じゃない、と思わせてくれた。
そうだ。いつまでも泣いていたら、アンジールに怒られちまう。
『そんな情けないソルジャーはいらない!』
今にも説教が聞こえてきそうだな、と考えながら。
「アンジール、俺…もう少し頑張ってみるよ…!」
眩しい青空に向かい、ザックスが呟いた。
そして。ここに思案顔の男がもう一人。コスタに同行していたツォンだが、未だザックスに伝えていない事実があり、その件について考えを巡らせている。
そう、モデオヘイムのあの日。帰還後、ツォンはアンジールの遺体を収容するため、再度あの廃墟に向かった。
…だが、そこにあるはずの、アンジールの姿が無かったのだ。
ライフストリームに還ったのかと思ったが、すぐに違うとわかった。
数枚の白い羽根が、残っていたのだ。もし星に還ったのなら、何も残さず全てが消え去るはずなのに。
『アンジールは生きているのでは…?』
そんな考えが、頭から離れない。
しかし、それをザックスに話して、余計な希望を持たせるのは酷ではないか。
そう思い、話せないでいたのだ。
ツォンは顔には出さないが、素直で裏表の無いザックスを結構気に入っている。
出来れば、これ以上辛い思いはしてほしくない。
でも。
『神羅に関わり続ける以上は、無理な話か…。』
そんな事を考えながら、ビーチでスクワットをするザックスを遠くから見守っていた。
出来ればこのまま、何事も無く、日々が過ぎてくれる事を願いながら…。
そうしている中、ツォンの携帯の音が鳴る。
ニブルヘイムへ向けて、運命の歯車が再度、大きく回り始めた。