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□偶然必然な出会い
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「よっこら、せっ…と!」


あーめっちゃ重てぇ……。
現在、俺は大量の紙束を持ち資料室に向かっている。
くっ……これもどれも全て八神のせいだクッソー!

時間は遡り15分前――。
珍しく校内を散歩中、現代国語の八神先生と鉢合わせした。
八神先生は大量の資料を持ち大変そうに歩いていたが俺を見るなり素晴らしく誰もが見惚れる笑顔を向けて来た。
あ、ヤな予感……。


「こんにちは。珍しいですね貴方が校内を歩いているなんて。」

「まぁ…そんな気分だっただけだよ。」

「そうなんですか。」


ニコニコ笑顔を絶やさない八神先生とヤな予感ありまくりな俺。


「これから風間先生はどちらに?」

「中庭を回って保健室に帰りますけど。」


そこで八神の笑顔は5割増した。
ついでに俺のヤな予感は9割増した。


「大変申し訳ないんですが、私はこれから会議があり急いでます。」

「そうなんですか。」

「ええそうなんです。」

「…………」

「…………」


無言で見つめ合うこと1分。


「ソノ資料オレガ戻シテキマショウカ。」

「本当ですか! 有難うございます。」


俺がそう言うと八神は、それはもう!バックに花を咲かせる笑顔を放ち資料を俺に渡すと颯爽と職員室へと去って行った。

そして時を戻ること15分後、現在な俺は八神先生の笑顔の圧力に負け渋々資料室を目指して歩いている。
資料室は特別棟の三階にある。
そんでもってこの学院普通じゃないからエレベーターなんてもんが存在する。
まぁ俺としてもそれは嬉しい事なんだが、あいにく今日は使えそうになかった。
何故なら生徒会役員の一人、会計の木嶋誠司がエレベーターの前に立っていたからだ。
俺は木嶋とエレベーターで二人っきりに様なヘマはしない。
いつ何時誰が何処で見てるか分からんからな。
もし親衛隊とかが見てたら俺の身が危ない。
俺は危険な橋は渡らん主義だ。
よって泣く泣くエレベーターは諦め階段を使い資料室に向かった。



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