□DESTINY
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第一章・始まり
クレイフル・ユークリッドはいつも少し長めの銀髪を後ろで1つに結び、
淡い朝霧色をした上品な服を着こなしている。
少し大人びているからか歳相応に見えないが、
まだ二十歳になって間もない青年だ。
背は平均といったところだが、彼の端正な顔立ちは知的で品がある。
腰のベルトに差し込まれた剣の装飾は、
彼の瞳と同じく金色に輝いている。
首にはペンダントが下げられており、
それには大きな宝石が付いている。
宝石は濃い蒼色をして、それでいて透き通るようでとても美しい。
クレイフルは今、
城下町が一望できる丘に来ていた。
ここは彼のお気に入りの場所で、昼間天気が良いとよく本を読みにくる。
しかし、今回はいつもと少し違った。
いつも彼がここを訪れる時は空が明るい時間帯だけだが、
今、ここから見える景色は闇に覆われている。
いつもなら見える市場の賑わいも、今は無い。
夜明けはまだ遠く、
街は静まり返っていた…
「静かだ………。」
クレイフルは1人呟いた。
今夜は沢山星がでていて、クレイフルは何か答えが返ってくるかとも思ったが、星は何も答えてはくれなかった。
歌声も、囁き声すら耳には届かず…
星はただ、ゆるやかに天空を廻っている。