恋姫無双【記紀奇跡】

□序章
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 外史とか正史とか、良くもまぁそこまで好き勝手言えるよなぁ。外側にいる連中が勝手言うなっつの。中に住んでるヤツからしてみたらコレが正しくて、他のが正しくないんだ。だってそうだろ?俺達が住んでるところ――まぁ、じゃあ日本を基準に考えてみようか。

 お前らの住む日本の住宅に、ホームステイでもなんでも良いから突然外人が転がり込む。当然、彼らは彼らの生活基準により、土足で上がるんだ。そしてお前らは言う。「日本じゃ、靴を脱いで上がるのですよ」と。

 それを耳にした外人は、さぁどうした。「ホワイ、貴方達オカシイですヨ」。そう言われてるようなモンだぜコッチからしてみればよ。そんな事を言われちゃあ此方としては「お客様、投身自殺か焼身自殺、どちらになさいますか?」と言ってしまうだろうよ。郷に入らば郷に従え、とも言うだろうに。

 こっちの正しさはこっちの人間が決めれば良い。外側の人間がごちゃごちゃ抜かすな。そも、正しかろうが正しくなかろうが、そんなもんどっちも同じだ。俺達は俺達で、此方側で「活きて」いるんだからよ。始まっちまってんだから正しかろうが間違っていようが、いくら論争したって時間の無駄さ。

 そうは思わねぇか?思うだろ?思わなきゃ潔く死んでろ。此方側を覗かなければ良い。眼球を抉り、鼓膜を破り、皮膚を剥いで鼻の粘膜を焦がせ。舌は当然引っこ抜け。声帯やら四肢やらは俺が潰してやっからよ。

 あ?外側の人間が此方側に来たらどうする?そんなもん、その「外側の人間」に「元」が付くだけだろ。「元・外側の人間」で、「現・此方側の人間」だ。俺らはそこまで閉鎖的じゃねぇ。いくら狂っていても、そこまで排他的じゃあ無い。
 

 ――世界は、そこまで狭量じゃあ、無いんだからよ。














「……、師匠。ご高説痛み入るところですが、魚が逃げるんで黙ってください」


 あぁ?魚なんて素手で獲れんだろ。釣りなんてちんたらしてんじゃねぇ。


「師匠の素晴らしさをご教授頂けるのは有難い事ですが、無茶言わないでください。川でならまだしも、海でソレは無理です。せめて銛が欲しいところですね」


 お前に銛なんて持たせられっかド阿呆。釣竿でもギリギリのクセになに言ってんだクソバカ。

 あー……。なんか、メンドクサくなってきたなー……。




序章-終

 

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