Near

□真夜中の訪問者
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ペタ、ペタ、ペタ

ひっそりと近付く足音

ギィー、…カチャ

こっそりと閉められたドア

モゾモゾモゾ

俺のベットに潜りこんでくる真夜中の訪問者


「メロ起きてますか?」

話しかけられても俺は寝たふりを決め込む。

背中にふわっと感じる柔らかい感触と腰に回された冷たくなった腕、
そして、いつもの愛しい香りに包まれて、一瞬気が遠くなる。

肩越しに見えた銀髪

ニア…




真夜中の訪問は、ある日突然始まった。

初めは蹴飛ばして追い出した。

それでもニアは、毎日懲りずにやってきた。

いちいち反応するのも面倒になって、ほっといて好きにさせた。
だが、俺は何も返事もしないし、何もしない。


「メロ・・起きていますか?」
体の冷たさとは違う熱い吐息がうなじを刺激する。




思わず俺は、腹の前で組まれた冷たくて白い手に自分の手を重ねた。

「ん!?メロ起きていたんですね。」

「!!!!」

何やってるんだ俺・・。 慌てて離した手をギュっと冷たく華奢な手がつかんだ。

「初めてですね。私に触れてくれたのは・・。うれしいです・・」

「うるせえよ。蹴飛ばすぞ」

言葉とは裏腹に、俺はつかまれた手を離せずにいた。


大嫌いなはずなのに

お前がいなくなれば、一番になれるのに

本気でそう思ったこともあった。

それなのに、俺は追い出せずに受け入れてしまっている


「メロ・・・。好きです・・あいしてます・・」

毎夜毎夜

耳元で繰り返される呪文

俺はきっと ニアの魔術にかかってしまったんだ。


この熱くなってしまった俺自身も
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