恐怖物語

□鏡
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これは、ある2人の男子学生が体験した話。
2人(仮に2人をAとBとする)は、とある地元で評判の心霊スポットに来ていた。そこは、5年前にオープンして間もなく殺人事件が起き、その影響もあって営業を止め、それ以来廃虚と化した旅館だった。しかし、廃虚と言っても2年前まで営業されていたせいか比較的キレイで、営業当時の面影を残したままだった。TVでよく見かける荒れ果てたものを想像していた2人にとっては少し物足りない感じもしたが、一通り建物内を見て回ることにした。
A「来てみたは良いけど、何も起きねぇな」
B「…だよな、何も出てこないし、もうちょっと怖い場所だと思ったんだけど…」
A「仕方ねぇな、どうする?このままここに居てもしょうがねぇし、そろそろ帰るか?」
B「そうだな、そうしよう」
B「あっ、ちょっと待って。何かトイレに行きたくなってきた。確か向こうにあったはずだから、ここで待っててくれる?」
A「あぁ、分かった。早く帰ってこいよ」
と言い、BはA1人を残し、来たところの突き当たりを曲がったところにあるトイレへと駆け込んだ。
B「ハァ〜…、せっかく来たのに何もないんじゃ意味ないよなぁ」
そう呟きながら用を足すも、何1つ起きずにこれで無事に帰れるという安心感も同時に感じていた。
そして、用を足し終えたBは、もしかして手を洗えないかと手洗い場の前に立ち、蛇口を捻った。すると、 「ジャー」
B「あれ!?おかしいな?もうこの建物は使われていないはずなのに、まだ水が出る。まだ、水道が止められていないのか?」
少し不思議に思いながらも、Bは手を洗い、フと目の前の鏡を見た。
B「あれ…!?」
Bは気づいた。鏡の奥にこちらに背を向けた人間が立っている。後ろ向きではあったが、それは見るに30〜40歳ぐらいの男だった。
B「…まさか…」
Bはその状況が理解できず、その場に固まって動けなかった。すると、その男はゆっくりとこちらを向き始めた。
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