□約束の丘 第一章
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バタン!
無遠慮にドアが、開けられる。
そこには、二番目の兄が、壁に寄りかかって、ニヤついて立っていた。

「アルフレイドお前、やっとここから、出て行くんだってな?」

「はい、今まで有難うございました」

アルフレイドは、小さく笑って会釈する。
その様子に、イライラするのか、更に毒つく。

「お前の、おかげでこっちは、色々と迷惑掛けられっぱなしだったらかな。最後くらいは、役に立ててよかったな?」

「…はい。」

「せいぜい、追い出されないように、そうやって大人しく、伯爵に尽くすんだな。追い出されても、お前に帰る場所なんて、ないんだからな!」

荒々しく、扉を閉め出ていった。
アルフレイドの華奢な肩は、小さく震えていた。
そのまま、その場に泣き崩れた。

「…私だって、好きで此処に居るんじゃない…好きで結婚するんじゃない!」

今まで堪えてきた、感情が溢れ出す。

幼い頃から、他の兄姉達と区別されてきた。
一緒に遊ぶことも、学ぶ事も許されなかった。

そんな中、唯一姉だけが、親や、兄達に隠れて、私に勉強や、お稽古事を教えてくれた。
そのおかげで、人前に出ても、恥ずかしくない教養は身に付くことが出来た。

だが、それが見つかると、ひどい、仕置きをされた。

「お前は、不義の子だ!教養なんか、必要ない!ここに、置いてもらってるだけで、身に余るほどだ!」

そう言って、お父さまに、何度も打たれた。 
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