過
□約束の丘 プロローグ
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とある国の、一人の少女のお話。
澄み渡った空。
どこまでも、どこまでも。
空を、空を、、、、、
コンコン、
「入れ」
カチャリ。
「お呼びでしょうか、お父さま」
遠慮がちに、扉が開き、質素な身なりの、美しいブロンドの少女が入ってきた。
父と呼ばれる男は、彼女には目もくれず、窓の外を眺めている。
「決まったぞ、お前の縁談が」
ワインを傾け、飲み干す。
「ティタニア伯爵に嫁ぐんだ。最後ぐらい、私達の役に立たって貰わないとな」
少女は、小さく会釈をして、ポツリと言葉を落とした。
「有難うございます…」
「くれぐれも間違いは起こすな、アルフレイド!式の日取りが決まれば、外出は一切認めん!もう用はない。下がれ!」
彼女の、顔を見るのも疎ましげの様に、背を向けたままだった。
彼女は深々と会釈をし、部屋を出て行った。
「…まったく、これで厄介払いが出来る…」