Zmain

□Velentine
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総務部調査課通称タークスのエース、レノが自分のデスクで突然大声を発した。

「しまったぁ…」

がくぅと思いっきり肩を落とす。

そう、2月14日はバレンタインデー。
バレンタインというのは、好きな奴にチョコレートを渡す日。
大抵は恋人とかにやるのが一般だが、友達や先輩とか家族とか、そんな奴にもチョコはあげるらしい。

まぁ、俺にも好きな奴がいて…恋人、だけど…。
その人はちょっと特殊な人で…。

「今は…2月…11日かぁ…」

はぁ、とまたため息を吐く。
バレンタインは三日後か…。
と、そこに偶然…
何回も言うが偶然、相棒のルードが書庫室から戻って来た。

「レノ…?どうしたんだ?」

「ん〜?なんでもないぞ、と」

その場をやり過ごそうとした。
適当に言葉を濁して、笑顔で振る舞えばこれで大概は逃げられるんだぞ、と!

「嘘吐くな…チョコ、用意してないんだろ?社長に…」

ギクッ…。
くそっ、こういう所は鋭いな、相棒。

「ま、まさか…ちゃんと用意して…」

「嘘を吐くな、バレバレだぞ」

うっ…。
ちきしょー…。

「そーですよー、用意してませんよーだ」

あー、もうヤケクソだコノヤロ〜。
ぎしっと椅子の背もたれに体重をかける。
どうすっかな、チョコ…
義理は、嫌だしなぁ…

「一緒に作るか?」

相棒の唐突な一言にピタリと全ての動きが止まり、俺は目を見開く。

「はぁ?何でお前が…?」

「人には話せぬ事情はあるものだ」

フッと笑い、意味不明なことを言う相棒。
何か、こんな相棒嫌だけど…

「なんだそれ?」

「いいのか?作らなくて」

嫌だけど…仕方ない。
イリーナに頼りたいが何言われっか分かんねーし。
かといって一人で作ったら大変な物体が出てくるのは目に見えている。

「じゃあ…よろしくな、と」
「了解、相棒」

相棒に頼っちまうけど、あの人が喜んでもらえるような物を作ってやる!

 
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