collabo&paro
□始まり
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「さっきから思ってたんだけど、何だよ『しんら』って!んなもん、知らねぇぞ?」
「えっ!??う、嘘だ、と!ミッドガルだろ、と!!??ここは!」
「だから知らねぇって!『みっどがる』でもないぞ!」
「…う、嘘…だ…」
力無く呟いたレノはそこにへたりこんでしまった。
ジリリリン…
そこへ、電話が鳴り響いた。ダンテは倒れていた事務所のイスを蹴りあげ、ドカッとそのイスに座り、足を机の上に乱暴に乗せる。その反動で電話の受話器が取れ、ダンテはそれをキャッチし電話に出る。
「悪いが、まだ閉店中だ」
言い終わるや否や受話器を放り投げて戻す。
「開店はまだだってのに、気の早い客もいるもんだ。なぁ?」
「……」
レノは何も答えないが、ゆっくりと立ち上がりダンテの近くの壁に寄りかかる。
「大丈夫かよ…レノ…」
「………」
う〜ん、と困ったダンテは机の上に置いてあったピザを取った。
「ホラ!食えよ!このピザ美味いんだぜ!俺の好物なんだ!」
レノはきょとんとしたが、そのピザを受け取り
「ありがとうな、と」
ふわりと微笑み、ダンテに向けて言った。
「!!??…あ、あぁ…」
ダンテの目にはレノが笑った瞬間、母エヴァの姿がかぶった。
―母…さん…?―
が、それも本当に一瞬ですぐに消える。
「?どうしたんだ、と?」
「あ?…いや、何でもないぜ?」
呆然とするダンテに"何かあるな…"と思ったレノだったが深く追求するのはやめ、ピザを少しずつ食べ始める。ダンテも先ほど座っていたイスに座り足を机の上に乗せ、残りのピザを食べ始めた。
カチャッ…
そこへ、事務所に一人の男が入ってくる。
「あんたも気の早い客か?シャワー借りたいってんなら勝手にしな。トイレも裏にあるぜ?」
コツコツ…とダンテのいる机に歩み寄る。その男は実に特徴的で目はオッドアイでスキンヘッド。黒い服をしっかりと着ている。しかし、その顔の左半分が茶色い痕があった。
「君がダンテかね?スパーダの息子だとか…」
歩きながらダンテに問う。そこにいたレノは話の内容がイマイチ分からなかったがじっと話を聞く。
「どうしてそれを?」
その時にはもう男はダンテの机の前に来ており、ダンテの首からさげているアミュレットを一瞬だけ見る。そしてダンテと向き直ると、こう告げた。
「君の…兄上から」
重い空気が辺りを漂う。しばらくそうした後、オッドアイの男がその空気を破った。